稲川實著 現代書館(598.2/I)
某テレビドラマで、幕末の志士・坂本竜馬が、羽織袴に短靴という出で立ちで颯爽と登場するシーンがあった。なかなか新鮮で印象に残ったのだが、そういえば、私たちが履いている靴はいつ頃日本にお目見えしたのだろう。幕末から明治にかけての、「西洋靴」(何とレトロな雰囲気!)を巡る様々なエピソード。(Y)
渡辺尚志著 農文協(210.5/W)
日本は昔から自然災害の多い国であった。人々はその度ごとに大被害を蒙りながらも、それを乗り越えてきた。本書は、江戸時代の、津波、洪水、飢饉、地震といった天災から村人たちがどのように力をあわせて復興していったかを纏めたものである。東日本大震災と同規模、またはそれ以上の地震が発生する可能性が高いといわれる今日、先人の知恵に学ぶべきことは多い。(Y)
エイミィ・ステュワート著 飛鳥新社(483.9/S)
学生の皆さんには笑われてしまいそうだがミミズは苦手。子どもの頃、土いじりをしていてミミズが出てくると悲鳴をあげたクチです。そんな私でもこの本を読んでいるとミミズのパワーに驚かされ、いとおしく思えてくる。大昔から地球上に存在していながら、ダーウィンに「発見」されるまで研究者はこのちっぽけな生きものに目も向けなかった。それでも黙々と大地を耕してきたミミズたちは、今、私たち人間が破壊しつつある環境を修復する力を持っていることで脚光を浴びている。それはひとつの希望だが、一方でまたしても人間の都合だけで勝手にミミズを「改造する」ことは戒めなければならないだろう。(M)
難波功士著 人文書院(361/N)
社会学とは-と聞かれるとなかなか定義が難しいのではないか。「○×社会学」という具合になんでもアリのようにも思える。見方を変えれば、多面的でふところの深い学問なのだ。このような社会学の魅力をどのように伝えたらいいかと考えていた著者は、マンガ『闇金ウシジマくん』こそ社会学そのものだとひらめいた。そのようなわけで目次からして「都市社会学ウシジマくん」「家族社会学ウシジマくん」・・・。本文中にも「フーゾクくん」「テレクラくん」たちがあふれている。一見、軽そうに、でも熱く社会学とは何かについて語った本。ちなみにマンガを知らなくても大丈夫。あらすじとエピソード一覧つきです。 (M)
小澤祥司著 講談社(501.6/O)
もはやクリーンでも無限でもないことが疑いのない、現行のエネルギーシステム。にもかかわらず、「別の道」ではなく、これからも来た道を辿ろうという気配がじわじわと濃くなりつつある日本。本書はドイツやオーストラリア、また日本の一地域で別の道を歩みつつある、また目指そうとしている事例を取り上げている。「地域」「分散」「自然」をキーワードとする「エネルギー革命」が提言されている。 (A)
舟崎克彦著 求龍堂グラフィックス(930.27/C22-F)
副題の「ふたり」とはもちろん「アリス」とそのモデルとなった少女のことだが、本書ではルイス・キャロルの生涯を辿りつつ「アリス」のみならず、物語中の不思議な動物や場所を描いた挿絵と、実際に彼の生きた世界の建物や場所や自然風景などの写真画像(キャロル自身によるものも)をだぶらせる。意外にと言うべきか、挿絵はイメージの源泉となった「モデル」(例えばグリフィンの姿、チェシャ猫の現れた木など)に細部までかなり忠実なものも多い。逆に物語由来の「名所」の案内もあり、美しい絵と写真が満載です。(A)