恵泉女学園大学

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図書館

ライファーズ:罪に向きあう

坂上香著 みすず書房(326.9/S)

日本の刑務所のイメージは鉄格子や高い塀、虐待、世間から隔離され、出所してもなかなか社会に戻れず、人生のやり直しが難しい、などだろうか。更正のための教育まで手が回らないという話も聞く。アメリカのアミティはNPOが運営する犯罪者の更正施設だが、明るく開放的な環境の中で「治療共同体」(TC)というプログラムによって新しい人生のための学び直しを行う。この施設を出た人の再犯率は非常に低いという。そしてそのプログラムの中で「ライファーズ」の果たす役割は大きい。「ライファーズ」とは誰か、どうして受刑者たちは「彼ら」のおかげでやり直せたと述べるのか。アメリカにおける「罪との向き合い方」のレポート。(M)

 

<選択>の神話:自由の国アメリカの不自由

ケント・グリーンフィールド著 紀伊国屋書店(361.4/G)

つい先日のドラマで「今の人たちは何でも選べて大変ね。その結果を全部自分で引き受けなければならない。」という言葉があった。選択と責任はセットとして考えられることが多い。このごろでは自己責任と言われたりする。しかし自分で選んだのだから自分で責任を取れという言い方は正しいのだろうか。実は、「選ばされた」のではないか、あるいは、もともと選択できるようなものではなかったのではないか。著者がアメリカ人なのでアメリカでの事例が多く紹介されているが日本でも十分にあてはまるものだと思う。(M)

 

心理学大図鑑

キャサリン・コーリンほか著 三省堂(140/Sh69)

絵本の様に可愛いイラストの表紙。子供用の図鑑の様な大きさ。つい誘われて、カラフルなページを開く。と以前『哲学大図鑑』の紹介として書いた文がそっくりそのまま当てはまる、兄弟分の様な構成・体裁だが、本書では実験や調査に基づいた具体的な話も沢山紹介されており、さらにより読みやすく、愉しい内容になっているとのこと(訳者の後書きより)。本書でもまた、ほとんど全ての心理学の各論、テーマの視覚化を試みている(挑戦している?)イラストも見応えあり。(A)

 

浮世絵でめぐる江戸の花

日野原健司・平野恵共著 誠文堂新光社(721.8/H)

江戸時代の日本は、世界でも有数の「園芸大国」であり、その技術も世界最先端であったという(本書より)。それを示す「歴史的資料」として浮世絵がある。絵の中の女性が両手に一つずつ持ち、どちらを買おうか、ためつすがめつ見比べている小さな何気ない鉢植えの花。それらでさえも、実際に名を同定出来るほどの精緻さと存在感を持っている。そのことがまさに「園芸大国江戸」の歴史的証言なのだ。園芸のみならず、江戸文化の懐の深さをも、改めて思い知らされる一冊。(A)

 

ファッションフード、あります:はやりの食べ物クロニクル 1970-2010

畑中三応子著 紀伊国屋書店(383.8/H)

高度成長期から今日までの40年間、どんな食べ物が流行ったか? 「あんぱん、カップラーメン、ティラミス」等、次から次へと出現する食べ物の数々。日本人の食に対する飽くなき探究心が見て取れる。それは今に始まったものではなく、江戸時代にまで遡れるらしい。本の装丁も、なかなか凝っていて、一瞬何かと思ったらアイスクリームコーンの柄なのであった!(Y) 

 

なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?

辻太一朗著 東洋経済新報社(377.9/T)

昨年、イギリスのさる教育機関が発表した世界大学ランキングによれば、100位以内に入った日本の大学は、東大と京大の2校のみだという。ランキングが全てだというわけではないが、結局、日本の大学生が他国に比べて勉強していない、ということだろう。学生だけを叱咤しても始まらない。社会全体で考えて解決策を見出すべきときだ。(Y)