恵泉女学園大学

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水と日本人

鳥越皓之著 岩波書店(518.1/T)

人の暮らしと切っても切り離せない水。水はみんなのもので、水源のそばには水神様がまつられていたり、カッパが守っているという伝説があったりする。また川に流すことで清浄化されるという思想もある。いろいろな例を挙げて里川を守る方法を考えさせられる。(T)

 

うつ病治療と現代アメリカ社会:日本は何を学べるか

河西結子著 海鳴社(493.7/K)

日本でうつ病が蔓延し、個人病理のレベルを超えた、社会問題になりつつある今日、精神疾患の最新の臨床研究やより積極的な社会介入が試みられている国、アメリカの人々はどのようにうつ病と闘っているか、アメリカ社会は彼らにどのようなヘルプを提供しているのか、を総合的に明らかにしたいという趣旨で書かれた本です。(T)

 

原発アウトロー青春白書:福島第一原発で体を張る若者たちの真実

久田将義著 ミリオン出版(543.5/H)

支給されるべき危険手当が本人の手に渡っていない、放射線の線量を除染作業員に知らせない、など原発事故に関わる労働者を踏みにじるような実態が次々と明らかになっている。こうした過酷な状況の中で働く若者たちの声である。危険な仕事であることは分っている、そして怖いと思う、ではなぜここで働くのか、意味はあるのか、などいろいろな思いをかかえた彼らの声。ここで簡単に紹介してしまってはいけないと感じる。一読を。  (M)

 

さようなら、もんじゅ君:高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし

もんじゅ君著 河出書房新社(539.3/M)

冒頭に出てくるもんじゅ君の履歴書に思わず笑ってしまうのだが、書いてあることはとてもシリアス、かつ重要。まさに「むずかしいことをやさしく」(井上ひさしの言葉)の精神にあふれている。笑いながら恐ろしさにひきつってしまうような・・・。以前、高速増殖炉「もんじゅ」がナトリウム漏れ事故を起こしたとき、私は、放射能ではなくナトリウムということであまり気にせず、そもそも「もんじゅ」が何かもよくわかっていなかったことを白状します。もんじゅ君に高速増殖炉の仕組みや危険性を教えてもらった。もんじゅ君は履歴書に「もうはたらきたくありません。」と書いている。この願いをかなえてあげなくては。    (M)

 

レンズが撮らえた幕末明治の女たち

小沢健志監修 山川出版社(367.21/R)

表紙の美しい女性、どこかで見たことがあると思ったら、陸奥宗光(明治期の外務大臣)夫人の陸奥亮子ではないか! 駐米時代、その美貌と聡明さとで「ワシントン社交界の華」と謳われたとか。さて、本書には、幕末明治の華族、大名、花柳界、市井の女性たちの写真がふんだんに収められている。眺めて楽しむだけでなく、当時の女性の風俗を知る上でも貴重であり、また、写真に添えられた説明も興味深い。(Y)

 

山形ガールズ農場!:女子から始める農業改革

菜穂子著 角川書店(611.7/N)

農家に生まれ育った著者が中心となって立ち上げた、女性だけのスタッフによる農場。そもそもの始まりから現在に至るまでを描く。TPP、農業従事者の高齢化や後継者不足など、様々な問題を抱えている中、新しい芽が育ちつつある...。これからも様々な問題にぶつかるだろうけれど、そのバイタリティで乗り切っていって欲しい。(Y)

 

おべんとうの時間 2

阿部直美文 阿部了写真 木楽舎(596.4/A)

写真を撮るために特別に作ったわけでは無いし、材料も特別なものが入っているわけでもないのに、どれも個性的で充実している(もちろんおいしそう)のは、手作りのお弁当が特別な誰かのために作られるからだろう。食べる人への短いインタビューで弁当や食事についての思い出が語られ、世界で一つのお弁当を食べる時間が、食べる人のそれぞれ一度の人生の大切な一部分であることがわかる。(A) 

 

本当にあった?グリム童話「お菓子の家」発掘:メルヒェン考古学「ヘンゼルとグレーテルの真相」

ハンス・トラクスラー著 現代書館(940.28/G86)

昔話や童話の登場人物や場所が本当に存在すると信じるのは、大抵は子供時代だけだろう。また昨今は象徴的な意味合いや深層心理学的な「大人の」解釈が与えられる事も多い。しかしそれらは本当に架空の「作り話」や「心の中の現実」ばかりだったのだろうか?本書は20世紀の後半にドイツ人ゲオルク・オセックが「ヘンゼルとグレーテル」を「歴史的事実に基づく報告書」として精密に分析し、登場人物とその舞台を現実の地理・歴史の中に特定していこうとした試みを追ったもの。トロイアの城壁の様に「お菓子の家」は本当に存在したのか?(A)