ウィル・バッキンガム他著 小須田健著 三省堂(100/Te86)
絵本の様に可愛いイラストの表紙。子供用の図鑑の様な大きさ。つい誘われて、カラフルなページを開く。堅いテーマの本はまず手に取ってもらうまでが大変だが、この本にはそんなハードルは余り感じられない。図解、絵画、写真も豊富。一見可愛いイラスト一つ一つにも哲学者達の言葉に少しでも肉迫しようとする「機知」が感じられ、ついついページをめくってしまう。理解への様々な工夫が凝らされた、頼りになる入門書。(A)
瀬戸義章著 PHP(518.5/S)
それが「ゴミ」かどうかは、人の価値観による。「ゴミ」から「資源」へ、「いる/いらない」の境界線めぐる旅は、東南アジアそして、震災後の仙台市へ。この偶然続いた2つの旅で得た共通点は、「あるもので生きる」強さ、だったという。後の章では「資源」を「もの」のみならず「こと」、「人の思い」自体、歴史、伝統、文化にまで広げ、その「リサイクル=復興」ととらえているのも興味深い。個人的には、岩手県の「和クルミによる復興」に期待!(クルミ好きなので)(A)
渡辺豪著 ボーダーインク(319.8/W)
オスプレイ配備反対の沖縄県民大会に10万人が集まったという。オスプレイはすでに何回も事故を起こしていて危険性を指摘されている。たまに飛行機がものすごい音をたてて飛ぶだけで何が起きたのかと怖くなるというのに、それが日常となっている沖縄にオスプレイが配備されようとしている。それでも大人は基地にたよらざるをえない実情などあれこれいろんな角度から考えすぎてしまう。「そてつ」はそんな基地の街で育つ子どもたちの率直な声である。(M)
野口勲著 日本経済新聞出版社(615.2/N)
恥ずかしながら、タネというのはタネ屋さんというか園芸の店に行って買うものだと思っていた。本書によれば、昔は世界中の農民が実った野菜からタネを採っていたのだ。今や野菜のタネのほとんどはF1種という掛け合わせで人工的につくられたものだという。F1種であれば野菜の大きさ、育ち方にばらつきがなく消費者の評判もいいし、売りやすい。同じ背丈の小松菜が袋詰めでずらりと並んでいるのは考えてみれば異様な眺めである。著者はF1種を否定しているわけではない。が、家庭菜園などでは野菜本来の味わいのある固定種での野菜作りを勧めている。タネから農業の今を考えてみよう。(M)
高野秀行著 集英社(292.58/T)
幸せの国ブータンへ調査旅行に行った著者の紀行文。雪男が本当にいるのか調べるのが目的で行った著者ですが・・・、とても楽しくブータンのことが分る本です。(T)
高山マミ著 亜紀書房(316.8/T)
シカゴの黒人男性と結婚した女性の見た、中産階級の黒人ファミリー。彼らは、アメリカ人でもなく、アフリカ人でもなく、「アメリカ黒人」として生きている。現在も白人から差別されている実態などがよくわかる。(T)
山本敏晴著 小学館(333.8/Y)
著者が、国際協力の何たるかを、きれいなところだけでなく、裏の部分まで、余すところなく、懇切丁寧に説明してくれる。「著者と初心者の女性による会話」というスタイルをとっているので、話が非常にわかりやすいのもこの本の特長だ。国際協力に漠然と関心はあるけれど、具体的に何をしたらいいのか迷っている人にはおすすめの本である。(Y)
森絵都著 文芸春秋(645.6/M)
前回の「おすすめ本」で紹介した『待ち続ける動物たち』同様、福島原発20キロ圏内に取り残されたペットたちがテーマになっている。著者は、現地でレスキュー活動を行っている女性たちに同行取材し、見たり感じたりしたことを、ありのまま綴っている。大震災から1年半、今なお地道な活動を続け、犬や猫たちに寄り添う姿に、彼らへの深い愛を感じる。(Y)