恵泉女学園大学

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日本を捨てた男たち:フィリピンに生きる「困窮邦人」

水谷竹秀著 集英社(334.4/M)

海外で経済的に困窮状態に陥っている在留邦人を「困窮邦人」と呼ぶ。所持金を滞在先で使い果たし、帰国することもままならず、路上生活やホームレス状態を強いられている日本人のことです。「日刊マニラ新聞社」の記者である筆者からの報告です。(T)

 

記者は何を見たのか:3・11東日本大震災

読売新聞社編 中央公論新社(369.3/Y)

東日本大震災の取材に当たった読売新聞記者78人が現地で何を見て、いかに感じ、何を考えたかの体験記。多くの被災者が記者に対し、重いはずの口を開いてくれ、避難所では、届いた新聞をむさぼるように読んでくれた。「新聞を求めている人がいる限り、被災地の状況を報じたい」と記者たちは取材し報道することの意義を教わった。(T)

 

風刺漫画で日本近代史がわかる本

湯本豪一著 草思社(210.6/Y)

よく「ワンフレーズ政治(家)」が批判されるが、その良し悪しは別としてワンフレーズでポイントを突くということはとても難しいと思う。短く、鋭く、グサリと。それこそが風刺漫画の持ち味だろう。4コマ漫画は朝夕刊両方に載っているが(少なくとも朝日新聞は)1コマ風刺漫画はあまり見かけなくなったような気がする。本書に載っているものは"厳選"されたものだろうがどれも切れ味抜群で、解説も合わせて読むと日本近代の歩みがよくわかる。(M)

 

特別授業3.11:君たちはどう生きるか

あさのあつこ他著  河出書房新社(369.3/A)

震災から1年余り過ぎた。もう今までと同じ生き方や考え方はできないなどと言われているわりには、政治も経済も私たちの暮らし方も変わっていないような気がする。小さい怒りをためながらどうせ私には変えることなんてできないと思っている人も多いだろう。本書は国語や理科といった科目ごとにいろんな人たちがわかりやすい言葉で「3.11で何が問われ、何を学ぶべきか。今とこれからの生き方を考えるために」(帯より)について語る。しっかりと自分の頭で考え、あきらめることなく進みたい。(M)

 

紅茶スパイ:英国人プラントハンター中国をゆく

サラ・ローズ著 築地誠子訳 原書房(619.8/R)

「紅茶」「スパイ」(007とか)どちらもイギリスを想起させる言葉だが、この2語が合体すると「面白さ抜群のノンフィクション!」(カバー解説文より)となる。本書は、イギリスの19世紀、「中国がひた隠してきた茶の製法とタネを入手する(盗む?)ため」、中国奥地に潜入した凄腕プラントハンター、ロバート・フォーチュンの活躍を描いている。背景には茶栽培を中国が独占していた時代に、自国(栽培地はインド)で茶をつくることを余儀なくされたアヘン戦争後のイギリスの歴史的状況がある。  (A)

 

電力供給が一番わかる:発電送電のしくみを通して未来のエネルギーを考える

今泉大輔著 技術評論社 (543/I)

電力についてますます気になる季節が近づいてきた。しかし価格設定なども含め、その基本的な「しくみ」が分かりにくく、日常の節電の「成果」を知ろうとしても、時にもどかしく感じるのは私だけだろうか?本書では、発電送電、電力供給などの基本的なしくみ、再生可能エネルギーのしくみなどが、わかりやすく説明されている。「電気利用の見える化」の実現例でもある「スマートグリット」などの説明もあるが、いずれも現状を踏まえ、あくまでも現実的かつ具体的。その良し悪しの判断を読者に託す余地を残している。(A)

 

逃げる公家、媚びる公家 : 戦国時代の貧しい貴族たち

渡邊大門著 柏書房(210.47/W)

随分前『武田信玄』という大河ドラマが放送されていた。本書でも取り上げられている、信玄の妻三条の方は、京の都のいとやんごとなき堂上家の姫君で、世が世なら都から遥か離れた甲斐の国(現在の山梨県)に嫁いでくることなどなかったはず。見返りは嫁ぎ先から実家への金銭的援助か。ことほどさように、戦国時代の公家は、経済的に大変で、家柄ブランドだけでは生きていけなかったのが辛いところだ。歴史好きの方にお勧め。(Y)

 

石巻赤十字病院の100日間

石巻赤十字病院, 由井りょう子著 小学館(498.8/I)

このところ続けて東日本大震災に関する本をおすすめ本に選んでいる(何しろ出版点数が多いのだ)。本書は、「石巻赤十字病院の医師、看護師、病院職員たちが、震災発生から100日、如何に現場で闘ったか」を纏めたものである。行間から当時の緊迫した臨場感が伝わってくる。あの時何が起こったのか、そして人々はどう対処したのか。3.11を風化させないで次代へ語り継いでゆくためにも、残しておきたい貴重な記録である。(Y)