恵泉女学園大学

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遺体:震災、津波の果てに

石井光太著 新潮社(369.3/I)

3.11の大震災、津波により、1000人以上の死者・行方不明者を出した釜石市では、市内数箇所に急遽遺体仮安置所が設置された。本書は、安置所に関わった地元の消防団員、葬儀社、民生委員、市役所職員、医師たちへの聞き取りをもとに纏めたものである。想像を絶する状況に、読みながら言葉を失った。あれから1年たった今だからこそ、一人でも多くの人に読んで欲しい。(Y)

 

アニメで読む世界史

藤川隆男編 山川出版社(209.6/A)

『アルプスの少女ハイジ』『小公女』『家なき子』など、かつて『世界名作劇場』として放映され、私たちにも馴染みの深いアニメ。その時代背景を探っていくと、今まで気がつかなかったり、うっかり見過ごしていた、いろいろなことがみえてくる。懐かしの名作を二倍、三倍に楽しめる本。(Y)

 

「方言コスプレ」の時代:ニセ関西弁から龍馬語まで

田中ゆかり著 岩波書店(808/T)

「方言」を用いた「ことばのコスチューム・プレイ」は、比較的若い年齢層を中心に、親密な間柄や、砕けた場面において、「どうやって自分の今の気分を伝えるか」と言う言語行動の"方略"の一つとしてすでにに定着しつつある。「方言おもちゃ化」の背景を変遷をさぐる。(T)

 

チェルノブイリの菜の花畑から:放射能汚染下の地域復興

河田昌東・藤井絢子編著 創森社(543.5/K)

ウクライナで最も汚染のひどいジトーミル州ナロジチ地区で、農業復興と地域の自立をめざし、「ナロジチ再生・菜の花プロジェクト」を開始した。菜の花畑からバイオエネルギーを生産し、農業復興で人々の生活を復活させるだけでなく、脱原発の基地として再生させたいという夢のために、活動してきた記録です。(T)

 

僕は君たちに武器を配りたい

瀧本哲史著 講談社(159/Ta73)

刺激的なタイトルだが、これは、厳しく先のみえない現代社会で生きていかねばならない若者に生き抜くための「武器」を与えようというメッセージである。希望を持つことが難しい時代だが、希望は自分で作り出せると著者は言う。「投資家的な生き方」をすすめているが、それは決してお金を儲けるということではない。著者が与えてくれる「武器」はいろいろあるが(各章ごとにまとめてある)大学に関わる者としては「大学ではリベラルアーツ(教養)を学べ」という言葉にうなづいてしまう。(M)

 

聞いてください:脱原発への道しるべ

坂田静子著 オフィスエム(543.5/S)

著者は恵泉の卒業生。原発のことなど考えもしなかった著者はイギリスに住む娘からの手紙で衝撃を受け、それから専門書を読んだりして猛勉強をし、原発の危険を伝えるためにひとりでちらしを作り始めた。今の話ではない。1977年のことである。その活動をまとめたものが本書だが、読んでいると、この数十年、私たちは何をしてきたのだろうと思ってしまう。現在問題になっていることはもうずっと前から警告されてきたのに、その「声」を聞いてこなかった結果としての今日なのだ。しかしもう遅すぎるとは思いたくない。(M)

 

日本人なら知っておきたい日本文学

蛇蔵&海野凪子著 幻冬舎 (910.2/H51)

この本を傍らに置き、紹介文を書いているのは、ちょっと肩身が狭かった。中身は漫画、しかも本当に「面白くてためになる」のだから、こんなに楽しい仕事は無い。「学生の頃は覚えなければならないことが多くて『点』でしかその教材を見ることができなかった気がする」と言う著者の言葉に共感。「生きた人間」を身近に感じられる、こんな古典の入門書が受験時代にあったなら!(A)

 

言葉の誕生を科学する

小川洋子、岡ノ谷一夫著  河出書房新社 (801/O)

小鳥の歌は本来求愛や繁殖のためのもの。しかし複雑化の過程で、それ以上の意味を持つようになった。いまや一人(一羽?)で歌う小鳥もいるとか。人間の言葉も小鳥の歌に似た前段階があったのでは?とするなら「歌」から「言葉」への飛躍、そして「こころ」へと至る過程とはどの様なものなのか?二人の対談は、少し読み進むごとに新たな発見があり、読み易いがなかなか進まない一冊。 (A)