古市憲寿著 講談社(367.6/F)
長引く不況、就職は氷河期で、国の財政は悪化の一途...。暗い話題ばかりが取り沙汰されるこの国で、20代の若者の多くは今の生活に満足しているのだという。彼らと同世代の著者は、今時若者の姿をどう捉えるのか。新進気鋭の社会学者による若者論。(Y)
増田ユリヤ著 岩波書店(334.4/M)
「移民大国フランスでの、移民の子どもたちはどのように生きているのか」をルポした本である。ここで取り上げている子どもたちの問題は、そのまま、フランスが現在抱える移民問題であり、移民が増えつつあるわが国の将来を考える上でも、決して対岸の火事ではない。(Y)
阿部真大著 日本経済新聞社(361.6/A)
大学生にとっての居場所の問題を考えるには、本書の第3章を読んでみてください。「第3の居場所」を作るヒントが得られるかもしれません。(T)
今村光章編著 解放出版社(376.1/I)
デンマークで一人の母親が自分の子どもを森へ連れて行くことから始まった森のようちえん。年間を通して定期的に同じ森に出かけ、そこで基本的には自由保育をする。一般的にいえば、そのような保育活動を森のようちえんと称する。ただし、森での活動の頻度はさまざまである。一年中野外保育をしている園もあれば、月に数回というところもある。園舎をもたない幼稚園であるとか、壁やドアのない幼稚園として紹介されることもあるが、園舎を有するところもある。森のようちえんとは、自然が豊かな広々とした空間で、ゆっくりと時間を過ごし、自然のなかで子どもの自主性を大切にすることを軸にした保育のあり方である。この本ではいろいろなタイプの森のようちえんを紹介している。(T)
飯田操著 ミネルヴァ書房(645/I)
イギリス人というと動物愛護、犬好きといったイメージが浮かぶのはなぜだろうか。それは本当だろうか。実はその陰には長い虐待の歴史があった。熊攻め、牛攻め、愛玩や狩猟のための無理な犬種改良など。ドリトル先生の物語もこうした扱いへの反省から生まれたという面もあるだろう。むずかしいのは「動物愛護」の理想が文化の違いや支配/被支配の関係と複雑に絡み合うことだ。本書ではこの一筋縄ではいかない問題を犬を中心に考える。(M)
南條竹則著 国書刊行会(930.28/L82-N)
「ドリトル先生物語」は今風にいえば「突っ込みどころ」満載と言えるかもしれない。動物愛護を言いながら肉を食べているではないか、とか西洋優位(特にイギリス)のにおいがする、とか・・・。差別的と非難されたこともある。でもそんなことはない、もっと深い物語なのだ。ドリトル先生を愛する著者は「突っ込みどころ」に丁寧に対応し、また、昔読んだきりという人(私も)にはまた読み直そうという気持ちにさせる。問題は、詳しく紹介してあるので読んだ気になってしまうことかも(!?) (M)
謝黎著 青弓社(383.1/S)
チャイナドレスを着たことがありますか?映画や写真で見て、かっこいい!と思っても、あのスリットや細身のデザインを着こなすのはちょっと・・・と思ってしまうのだが・・・。現代のチャイナドレスのこの様な特徴も中国の時代や社会の移り変わりを読みとる貴重なてがかりなのだ。例えば文化大革命期の伝統批判は、民俗衣装であるチャイナドレスに対する批判を生み、人々は皆「人民服」を着るようになる。カラフルなチャイナドレスの写真も楽しい。(A)
瀬谷ルミ子著 朝日新聞出版(319.8/S)
「武装解除とは、紛争が終わったあと、兵士たちから武器を回収して」彼らを一般市民として「社会復帰させる仕事」(本文より)。著者の仕事場は、24歳から世界各地の紛争地帯となった。「私一人の声なんてどこにも届かない」だから行動しても無駄、とずっと考えていた著者が、今に至るきっかけとなった事とは、?「人生を自分の手で変えられる、その権利は、世界の誰もが持っているものではない。」という著者の言葉は、重い。(A)