岸川真著 早美出版社(019/K)
生き延びられたのは「この(これらの)本のおかげ。」という著者(現在フリーの作家、編集者)の筋金入りの本たち。といっても「極限状況」にある時、本を探しに行ける筈もなく。その時、頭に浮かぶタイトルは・・・。そう、まさに今あなたが読み始める本でなければ!(A)
ドナ・ディケンソン著 河出書房新社(490.4/D)
自分の体はどこまで自分のもの?いつからいつまで自分のもの?こんな謎かけのような問いが現実味を帯びている。「ボディショッピング」というとまず臓器売買などのイメージが浮かびがちだが、意味するものはゲノム、幹細胞研究、美容整形、など広範囲であり事例も多国にわたる現状が明らかにされる。(A)
鈴木常勝著 大修館書店(779.8/S)
日中/太平洋戦争中に国民を戦争支持へ誘導するために作られた紙芝居を題材にし、日本人大学生と中国人留学生が議論した授業。中国人留学生すら「感動」してしまうような作品もあり、誰もが涙する「感動物語」に仕立てられたものにのせられる怖さを感じる。今、紙芝居はなくても、テレビやインターネットが同じような危うさを持っているのではないか。(M)
スティーヴン・ファリス著 講談社(519/F)
温暖化でこんなメリットもあります、といった報道を聞くと、そんなことを言っていていいのか、と思ってしまう。気候変動の影響は単に冬が暖かくて楽だ、とか、作物が取れなくなる、というレベルのものではなく、悲惨な内戦や人々の難民化などを引き起こす。もう手遅れなのではという気分になるが、未来をつくるのは「今」なのだ、その未来が明るいにせよ、悲惨なものにせよ。(M)
エドワード・ルース著 日経BP社(292.5/L)
インドは、矛盾に満ちた国である。世界でも有数の大金持ちがいると思えば、道端で物乞いをする人たちの多さもまたすごい。ダウリーやサティといった女性を不幸にする慣習がいまだに残ってもいれば、ボリウッド映画では女性美を賛美しているようにも思える。そんなインドを内側からレポートした本である。(N)
ローワン・ジェイコブセン著 文芸春秋(647.5/J)
「ハチがくるくる回ってまあるいイチゴができるんだよ」というテレビCMを見たのはずいぶん前のことだ。このCMで、ハチは蜂蜜をとるだけではなく、果物や野菜の受精に使われていることを知った。今、働き蜂が失踪してコロニーごと死んでしまうという奇妙な現象が起こり、養蜂家は危機に瀕している。人間のエゴが関係していることだけは確実だ。(N)
鎌倉の自然を守る連合会著 港の人(519.8/K)
この本の表紙の写真を見るとわかりますが、首都圏では類を見ないほどの豊かな生態系を育む鎌倉広町緑地。この緑地を守るために戦い続けた25年にわたる市民運動の軌跡です。(T)
ジョーン・マーク著 大月書店(289.3/M)
1978年11月15日に息を引き取ったマーガレット・ミード。この日『ワールド年鑑』は、世界でもっとも影響力のある女性25人の一人にミードを指名した。サモア・ニューギニア・バリ島などで研究をした人類学者のマーガレット・ミードの伝記です。(T)
米村みゆき・佐々木亜紀子[編] 森話社(910.4/Ka21)
ある特定のテーマについての本を集めて解説した本は様々あれど、高齢者介護を取り上げたものはこれが初めてではないか。核家族化で、祖父母と暮らす機会の少ない若い人たちには「老い」への実感はないかもしれないが、人間誰しもいずれは年をとるもの。本書を通して「老い」を肯定的に受け入れたい。(Y)
嘉田良平著 家の光協会(611.3/K)
海外から安い食品がどんどん入ってくると、農業では食べて行けなくなって離職者が増え、農家は高齢者ばかり。このまま衰退の一途を辿るのか。そんな中で、生産者、消費者が協力し合って地産地消を進めるなど、様々な試みを始めている地域もある。頑張れ、日本の農業!(Y)