黒須純一郎著 中央大学出版部(910.26/N58)
相当なヘビースモーカーだった漱石。そのせいか漱石の小説の登場人物はさかんに喫煙すると著者。この例のみならず漱石の小説の作品世界は彼自身の「日常生活」と分かちがたい。食事、病、交友など様々な日常の側面から考察している。(A)
赤尾和美著 朝日新聞社(498/A)
著者はHIVと訪問看護の専門家として、カンボジアの小児病院で奮闘する日本人ナース。
HIV感染、貧困、孤児、ストリートチルドレン、人身売買などカンボジアの現況を伝える内容は決して明るいものではないのになにか明るいトーンを感じさせるのは、「それでもカンボジアが好き!」という著者のゆるぎない心情のゆえだろうか。(A)
ペシャワール会編 石風社(289.1/I)
ペシャワール会のワーカーだった伊藤和也さんがアフガニスタンで凶弾に倒れてもう1年たってしまった。8月にアフガニスタンでは大統領選挙があったが、その結果はこれを書いている時点(10月7日)でまだはっきりしていない。世界は一気には変わらない。でも伊藤さんが関わったアフガニスタンの水路は完成した。種をまかねば芽は出ない・・・。(M)
アラン・ワイズマン著 早川書房(93A6/W55)
25年前には何もなかった南米コロンビアの大平原がエネルギーの自給自足と炭素の排出量ゼロの奇跡の集落に変わった。ここでは住民は決して"貧しい"暮らしをしているわけではない。CO2排出量を25%減にするとどのくらい生活が大変になるかと心配する私たちへの本書のメッセージをひとことで言えば"A Village to Reinvent the World"(原書名)(M)
高田洋子著 新宿書房(223.1/T)
ドイモイ政策のおかげで、それまで足を踏み入れることができなかった念願のベトナムへ調査に行くことのできた著者の喜びがあふれているように思われる。多くの写真とともに、著者がインタビューした一人一人の中にある歴史が語りかけてくる。(N)
吉田文和・池田元美編著 北海道大学出版会(519./Y)
鳩山総理が国連総会での演説で『温室効果ガスの削減目標として、1990年比で言えば2020年までに25%削減を目指す』と言って注目を集めていたけれど、「二酸化炭素(温室効果ガス)を減らす」って、実際には何ができるのか不安に思う私たちに、多面的な情報を与えてくれる。(N)
横山茂雄 編 新人物往来社(930.26/ A14 )
パン、ビ-ル、ワイン、酒類、茶、コ-ヒ-、クリ-ム、菓子、酢、その他家庭で用いられる様々な食品をめぐる不正な偽装を暴き見抜く方法があったり、現代の日本にもある拒食症がこの時代に命名され、医者に治療されていたということは、とても興味深い。(T)
石井美紀子訳 慶応義塾大学出版会( 190.28 / Ke51 )
14~15世紀イギリスで神の啓示を受け、14人の子の母でありながら、イェルサレム、そしてヨ-ロッパ各地巡礼の旅に出たマ-ジェリ-・ケンプの追想録。英語で書かれた最古の自伝です。(T)
小和田哲男著 吉川弘文館(289.12/K)
本書は、豊臣秀吉の二人の妻について書かれたものであるが、通常の伝記と異なり、その歴史的役割に重点が置かれている。一人は生涯を全うし、一人は落城の炎の中で人生を終えたとはいえ、それぞれの方法で必死に豊臣家を守ろうとしたことに変わりはない。戦国時代に関心を持つ若い女性-名付けて「歴女」にお勧めの一冊。(Y)
林俊行編 新評論(333.8/K)
JICA(国際協力事業団)が海外の発展途上国で展開している支援の中で、海外協力隊の存在はよく知られている。それとは別に、およそ90名の「国際協力専門員」が各地で仕事に携わっている、ということを本書で初めて知った。ここで取り上げられているのは12名の専門員。彼の地で地道な活動を続ける姿に、頭の下がる思いがする。(Y)