恵泉女学園大学

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「『迷走』どころか・・・」

 最近、思わぬアクシデントに遭い、救急車のお世話になりました。生まれて初めての経験で、といってもそれを味わう心の余裕などはもちろん到底ありませんでしたが。救急車は意外に揺れる、という経験者の言葉は思い出し、これは納得。しかし自分の今の状況を把握できずにいる不安な心の方が、この揺れ以上に「がくがく」していたかもしれません。そんな気持ちを少しずつ、鎮めてくれたのが、救急隊員の方々の対応でした。もっと大変な場面に沢山遭遇しているはずで、私の怪我などそれらに較べれば「怪我」の内にも入らないかもしれないのですが、もちろんそんなリアクションは少しも見せず、目の前にいる私にとって今一番必要な事を的確にわかろうとしてくれ、わかっている人だという信頼感を与えてくれたのでした。訓練を重ねたプロとして、当然のことかもしれませんが・・・。結局名前も顔もはっきりわからないまま(ど近眼で眼鏡無しだった)「お大事に」と去っていった救急隊員さん、あの夜は本当にありがとうございました!
 ・・・この文を書いていて「救急隊員」を主人公にした短篇作品をふと思い出しました。長岡弘樹著の短編集『傍聞き』(日本推理作家協会賞 短篇部門受賞 双葉社 2011年)の中に収録されています。タイトルは『迷走』です。以前図書館に寄贈しましたので是非。(A)