美食、スポーツ、読書...秋の楽しみ方はいろいろあれど、図書館スタッフとしては、矢張り本の話題を取り上げることにしましょう。
パリに行くと、セーヌ河畔で本箱に古い本などを並べて売っている人の姿が見受けられます。ブキニスト(古本屋)-パリの風物詩のひとつとして、道行く旅行者の目を楽しませてくれます。『パリ歴史事典』によれば、こうした、店舗を持たない本屋さんはすでに十六世紀には出現しているとか。いろいろ紆余曲折を経て今日に至っているようです。
さて、狭い一角でひっそりと売られているものは本だけかと思いきや、ポスター、版画、果てはパリの名所が描かれたコースターやマグカップにいたるまで、実に多岐にわたっています。「こんなものが売れるのかしらん」と思えるような、古いよれよれの雑誌も置いてあって、これが、よく見たら何と19世紀末の発行年だったりするので、もしかしたら、研究者にとっては非常に貴重なものかもしれません。かくいう私も、古書店のウェブサイトで探しても見つからなかった本を、ブキニストで「あっけなく」発見しました。早速買い求めましたが、お店のおじさんがパイプをくわえながら、くだんの本を無造作に入れてくれたのが、皺だらけのビニール袋。これはこれでブキニストっぽくて味があるなあ、と思ったことでした。
ブキニストに行かれたら、きっと面白いものがみつかるかもしれません。(Y)