恵泉女学園大学

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図書館

再会

   最近また、前回の「カウンターだより」で書いた古本屋を訪ねました。前回にはじっくり見る時間の無かった洋書絵本の本棚を見ていると、子供時代に読んだポップアップ絵本(もちろん日本語ですが)にそっくりの『赤頭巾』を見つけました。当時「とびだすえほん」というシリーズ名で他にも『長靴をはいた猫』『シンデレラ』などもあったのを覚えています。店主の方の話では、もともとチェコで出版されたこの絵本、現在では向こう(たぶんヨーロッパ)でもドイツ語版などしか無く、当時の日本語版には未だ出会ったことが無いそうです。国立国会図書館のデータベースによれば、現在公共図書館で5タイトル位所蔵しているようです。もう少しこの絵本の事を知りたくなり、調べてみましたが、残念ながら図書館の参考図書では出ないので、ネットで調べてみると、このポップアップの絵本のシリーズは、1950年から1960年ごろまでチェコで活躍し、仕掛け絵本の先駆者的存在だったヴォイチェク・クバシュタ(Vojtech Kubasta) という絵本作家の手になるものでした。彼の絵本は1ページに6箇所もの仕掛が施されているものもある精巧なものでした。しかし当時チェコではこれらの仕掛け絵本も国営の貿易会社(ARTIA)の輸出品だったので、実は当時のチェコの子ども達は彼の絵本を手にする事ができなかったのです。子供のころ毎日の様に「遊んでもらっていた」絵本にそんな由来と背景があることを全く知りませんでした。今は手元にありませんが、もし見つけたならそのことも忘れず感謝しつつ大事にしたいと思いました。(A)

 

今回は「読書会」メンバーがサークルのアピールも兼ねて展示をしてくれました。
部長の「秘密」のメモもあります。手にとってご覧ください。 2012.5.18.jpg