恵泉女学園大学

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図書館

「痕跡本」

常日頃、「図書館の本はみんなのものなので、大切にしましょう。書き込みや切り取りは厳禁」などと言っている手前、この話題はそれに反してしまいそうですが、あくまで図書館以外の本のお話です。

痕跡本を楽しむという「遊び」がひそやかに流行っているようです。古書には書き込みがあったりチケットの半券やレシートなどいろいろなものがはさまっていることがあります。そうしたものを元の持ち主の「痕跡」とみなして、それを手がかりにして元の持ち主のことをあれこれ想像(妄想?)するのです。もちろん、本当に元の持ち主を捜し求めるわけではなく、勝手にその人についての物語を作って楽しむのですが、ちょっとミステリー小説みたいですね。1冊の本は、本そのものの物語とそれにまつわる人々の物語の両方を包み込んで、奥深い世界を見せてくれるのです。こうしたことは電子書籍では絶対に無理でしょうね・・・。

『古書の来歴』という本を読み始めたところですが、これもまた本にはさまっていたごくごく小さなものを手がかりにしてその本に関わった人々の歴史が明らかになっていく、というストーリーです。こうした本はゆっくりと味わいながら読みたいものです。(M)