恵泉女学園大学

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図書館

「読むのが先か、見るのが先か?」

  先週、4月に発行予定の図書館報の原稿を学生と教員の方々に頂きました。特集テーマはほぼ毎回異なり、実はこの文のタイトルが、今回の特集記事のテーマです。いつも執筆をお願いするばかりで、時には自分でも考える苦労をしてみようと思った次第ですが、考え始めると色々な場合があり、答えをどちらか一つには、なかなか決められません。基本的には「読むのが先」派かと思いますが、例えば、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』の花火のシーンなどは、映画なら最高のクライマックスシーンになりそうで、小説を読みながらすでに映画化を心待ちにしていました。最近では、万城目学の『プリンセス・トヨトミ』などもこのパターンです。この小説はまた、登場人物の男女の役が映画では入れ替わっていて、小説より感情移入し易く感じました。想像力の貧しさのせいか、私にはこの「読んだら見たい」パターンが結構ありそうです。個性的な登場人物が多い小説だと、もし映画にするなら、この役は絶対にこの俳優、などと読み進みながら勝手に考えているうちに、ギャラの点でもありえない「オールスターキャスト」になっていたりすることもあります。そんな風に様々に想像力を刺激してくれる作品にも出会いたいと思っています。(A)