恵泉女学園大学

MENU
人文学部 歴史文化学科

連続講座 第4回「世界遺産学の可能性」記録

2012年12月16日、岡橋純子先生(筑波大学大学院世界文化遺産学専攻准教授)をお迎えし、「世界遺産学の可能性」と題する講演会を行いました。

2013年度から、歴史文化学科では「世界遺産学」を開講します。世界遺産は、世界の歴史や文化の反映であり、様々な地域と学問分野で研究する歴史文化学科の教員にとって共通項となりうるものです。現文化学科でも2年前から教員によるブログを展開してきました。(http://www.keisen.ac.jp/blog/heritage/)新学科では、さらに関心を深める学生のために、そもそも世界遺産とは何なのか、そしてその可能性や問題点はどこにあるのかを、世界遺産に直に携わる講師から学ぶことができるようにしました。

本講演では、すでに長く世界遺産の専門家を育ててきた筑波大学の世界文化遺産学専攻から講師を迎え、その意義について学びました。岡橋先生は、ユネスコの世界遺産センターに9年勤務され、登録の実務にあたっていた方でもあります。

お話のなかでは、文化遺産が生まれるきっかけはそれが破壊の危機にさらされるときであること、世界遺産条約が成立した状況にはエジプト・スーダン国境のヌビア遺跡の国際保護キャンペーン、アメリカ国立公園100周年、ストックホルム人間環境会議が関わっていること、自然遺産と文化遺産の双方を一つの文書にしたというところに世界遺産の特殊性があること、ユネスコ拠出金の1%が世界遺産基金となること、世界遺産に登録するには国内法ですでに保護されている必要があることなど、歴史から制度まで多岐にわたる状況をご説明いただきました。そして世界遺産学とは観念的な学問ではなく、様々な知を結びつけながら現場で保護にあたる実学だというまとめをいただきました。

時間が押してしまい、十分な質疑応答の時間は取れませんでしたが、参加学生からは多くの感想が寄せられました。世界遺産は国際的なお墨付きだと考えていたが、つくっていくものであり、自分がそこにどのようにかかわるかが問題だというものもありました。

本講演は、歴史文化学科設置を記念して行われてきた連続講座の最終回でもありました。日曜日の午後にもかかわらず、恵泉の学生や教員のみならず、地域からも参加して下さった方が何人もいらっしゃいました。今後も歴史文化学科へのご支援をよろしくお願いいたします。