恵泉女学園大学

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人文学部 歴史文化学科

デザイン

私たちが着ているもののデザインは、長い時間をかけて今の形になりました。たとえば、スーツを着た男性が首もとに締めている"ネクタイ"は、なぜあんな形をしているのでしょう。何かの役に立っているようでもなさそうですし、いったい何のためにしているのか不思議ではありませんか? 今から二千年ちかく前、ローマ帝国の兵士は寒さをしのぐために、首にスカーフのような布を巻きつけていました。その後十七世紀のフランスで、兵士から一般市民へとこの習慣が広がっていきました。そうなると当初の防寒という目的は薄れていき、徐々に装飾性の高いものとなっていきました。十九世紀のイギリスで流行した"蝶ネクタイ"などはその代表的なものです。こうしていつのまにか、ネクタイは男性性を象徴する社会的な"記号"となりました。このように、私たちが身につけているもののデザインすべてに、理由があり、歴史があり、文化的機能があるのです。