恵泉女学園大学

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人文学部 歴史文化学科

マナー

20世紀最大のハンサム映画スターと言われたアラン・ドロンについて、こんな話が残っています。彼はとても貧しい家の出でしたが、ともかく美少年でした。ある日自らの美貌を武器に映画俳優を夢見ます、しかし当時のスターは家柄もよく基本的マナーを身に付けていなければなりませんでした。そこでドロンは徹底的にフランスとヨーロッパのどこでも通用する上流階級のマナーを練習します。しゃべり方、アクセント、食事の作法、洋服の着方、そして何よりも落ち着いた態度などです。

やがてこの努力は見事に報われ、ヨーロッパ一の貴公子的映画スターとして認められました。ところが嫉妬も手伝ってか本物の貴族たちは、ドロンのマナーのもつある種の不自然さに気づきはじめます。つまりそのマナーがあまりにも完璧だったので、後から獲得したものであることを見破ったのです。難しいですね、自然のマナーは。