担当者:高橋 清貴
カンボジアは今、私たち日本人にとって身近な国になってきました。日本からもたくさんの観光客が訪れ、アンコールワットなど世界的な歴史遺産でも有名です。しかし、カンボジアにはもう一つの顔があります。カンボジアは70年代から80年代にかけて20年以上におよぶ内戦と貧困と混乱の時代でした。特にポルポト政権の時は、国民の約3分の1が虐殺されるという歴史を経験しています。フランスのパリで和平協定を結び、ようやく終止符を打ち、平和と復興・開発の時代の端緒を開いたのは、今から約20年前のことなのです。そのため、紛争の歴史を乗り越え、新しい国づくりに向けて、地雷の撤去や虐殺の時代の真実の究明など様々な取り組みが行われている「若い」国でもあります。特に、若者やNGO・NPOが中心となって、『壊れた籠(カゴ)』を編み直すように「社会」をつくり直そうとしているのです。その一方で、経済開発にともなう貧富の格差の拡大や人身売買といった新しい「負の課題」が生まれてきている現実もあります。
このフィールドスタディでは、アンコールワットに象徴されるような勇壮なクメール文明の遺産と紛争の歴史を背景として、深い悲しみと憎しみ、疑心を乗り越え、自らの手で新しい社会をつくり出そうと日々奔走している人々と触れ合う機会を提供します。草の根の視点から、紛争とは何か、復興とは何か、援助とは何か、人権とは何か、民主化とは何かを学び、そして「平和構築」という言葉の意味を考えていきたいと思います。
カンボジアは「微笑みの国」とも言われます、メコン川の流れのようにたおやかに、過去と向き合いながら、ゆっくりとしかし確実に未来をつくっていこうとする人々の姿に触れるとき、きっと何かが貴方の中で変わるはずです。
2010年度9月を予定 10日間程度
10名程度
19万円程度
成田発、プノンペン着
平和関連NGO訪問、トゥルスレーン/キリングフィールド訪問
人身売買・人権関係NGO訪問、シェルター訪問
ゴミ山問題、不発弾処理作業見学
プノンペン近郊の保養地で聞き取り調査、クメール裁判傍聴
シェムリアップへ移動
世界遺産(アンコールワット)見学
JVCの活動農村を訪問(農作業の手伝い、聞き取り調査)
トレンサップ湖の水上生活者訪問、シェムリアップ発
成田着
熊岡路矢『カンボジア最前線』(岩波新書)
メアス・ニー『壊れた籠』
上田広美、他『カンボジアを知るための60章』(明石書店)