「長期フィールドスタディでの体験学習のテーマは人身売買であった。タイは人身売買の受け入れ国であり、タイから他国への送り出し国であり、タイを経由した国へ移る経由国でもある。売買される対象は子供や女性が主である。人身売買は生搾取が思い浮かびがちだが、それだけでなく労働搾取・臓器売買など性搾取にとどまらなくなっている。人が簡単に利益のために移動してしまうのか、2年・3年ゼミを通して人身売買について調べてきたが、ほんやインターネットの資料を読むだけではなく現状を知りたいと思い始めていた。
そして今回、体験学習をさせていただいたMRICRH(Mekhong Regional Indigenous Child Rights Home)ではメコン川流域地域の人身売買、虐待、社会問題から被害を受けた子ども・女性たちを保護の対象としている。私は体験学習で「人身売買の被害者が施設に入所してから出所するまでの過程を見ることが出来たらと期待していた。しかし、体験学習を約2ヶ月していて感じたのは子ども・女性は家に帰るのに時間がかかっていること。また家に家族がいるのに、なぜ帰れないのかと疑問が湧いた。私は、MRICRHがどのように子ども・女性を家に帰れるようにサポートしているのかについてテーマにすることにした」
(P161、梅澤友美「人身売買の被害を受けた子ども女性の帰宅支援~MRICRHの活動を通して」『2007年度第8回長期フィールドスタディレポート集』、恵泉女学園大学 2008年11月より)