2005年4月
『ユビキタス・コンピュータ革命―次世代社会の世界標準』
坂本健著 川村受映 韓国語
最近、ユビキタス・コンピューティングとかユビキタス・ネットワーキング、はてはユビキタス社会など「ユビキタス(Ubiquitous)」という言葉が 目につくようになってきた。コンピュータ関係のメディアだけでなく、経済系の新聞や雑誌まで、ちょうど「インターネット」がブームになる前夜の感じであ る。
「ユビキタス」は近代ラテン語から来た英語で、日本語で訳すと「偏在」である。だから、ユビキタス・コンピューティングは直訳すると「偏在する計算力」ということになる。もっと簡単に分かりやすく言うと、「どこにでもコンピュータ」という意味である。
今はネットワークというとコンピュータ同士が通信して情報のやりとりをすることだが、ちょっと先の未来では、テレビやエアコン、冷蔵庫、洋服、かばん、 本、・・・など、パソコンとはちがう身の回りのいろいろなものもお互い通信しあい情報のやりとりができるようになる。
最近、パソコンだけでなく、携帯電話やDVD、テレビのように、画面にメニューが出てくるような、いかにもコンピュータが入っていますというモノもたくさ んある。実はそれ以外にも、電気炊飯器から自動車、エアコン、カメラまで、最近の身の回りの機器は、たいてい制御用の小型のコンピュータチップが入ってい る。その意味では、暫く前からとっくに「ユビキタス・コンピューティング」だったのではないかと思う方も多いだろう。
それを何で今頃、それも新聞や経済雑誌まで、まるで情報技術の未来形のような感じで取り上げ始めたのか。今の状況と「ユビキタス・コンピューティング」、その違いを述べているのが本書である。
テーマは
1、 ゴミにつけるコンピュター、宙に舞うダストコンピュータ
2、 コンピュータは見えなくなりすべての人のものに
3、 何億個ものコンピュータが私達の生活を守る
4、 「セキュリティ」確保と「オープン」な思想が重要な鍵
5、 必要の減る機関と新たなビジネスやサービスのかたち
6、 ユビキタスが可能にする「低成長モデル」と「循環型社会」
7、 時間分散都市、機能分散都市、そして電脳都市へ
など、非常に興味深いテーマが分かりやすく述べられている。
著者坂本健氏は東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授で、専攻は電脳建築学。YRPユビキタスネットワーキング研究所所長でもある。1984年からTRONプロジェクトのリーダーとして、全く新しい概念によるコンピュータ体系を構築している。
今後、ネットワークの一層の高速化が進展し、ネットワークへの多様なアクセスが可能となるとともに、大容量アプリケーションの利用が受けられる「ユビキタ スネットワーク社会」の到来が期待されており、多くの国で、ネットワーク技術に関する多様な研究開発プロジェクトが産学官により推進されている。日本を始 め、世界の国々が今多大な関心を寄せているユビキタス革命。
これからどういう社会になっていくのか、どういう未来が展開されていくのか、この問いに多くの示唆を与えてくれる一冊である。
*この本は図書館にあります。
この本は、アメリカの精神科医がスヌーピーの漫画に登場するチャーリー・ブラウンなどおなじみの仲間達を観察し、私達の性格や心理にも焦点があてられてい る本です。目次には、「何でも人のせいにする人」「自分でないものになりたい人」など、読んだら必ず一つは、これは自分の事だ!と認識できる様なタイトル が並びます。色々ありますが、その中の「思いこみが強い人」という章をここで挙げます。
この章では、スヌーピーと彼の親友であるカナリアのウッドストックが登場するシーンばかりがとり挙げられています。その漫画での幾つかのやり取りを見て、 著者はウッドストックの方は非現実的でスヌーピーの方は現実的だと分析します。読み進めていくうちに、私はこの話が何だか他人事ではないように思えてきま した。私の友人はうつ病になり現在も薬を飲んで治療をしていますが、その友人にウッドストックの姿と自分にスヌーピーの姿とをいつの間にか重ねて読んでい ました。
友達同士が自分の夢を話す事はよくある話ですが、相手の言っている事が現実とうまく結びつかないように思える事態にも何度か直面するはずです。私は彼女と 付き合っていくうちに、彼女の言っている事と現実でやっている事が合わさらないような感覚を覚える時があります。しかし、それは彼女の病が原因ではありま せん。錯覚した事もあったかもしれませんが、出どころはもっと別にあるのだと思います。逆に彼女のほうにも、私が真剣に考えている事を夢のような話だと思 う同様のパターンは起こっているのだと感じています。ウッドストックだって、スヌーピーが犬のくせにヘビやワニになりたがるのをからかいます。
正確には、スヌーピーにもウッドストックにも自分が思い描く独特の夢があり、互いがそれを客観視できる関係にあるのだ、と著者は述べています。友情の形は 様々ですが、少なくともスヌーピーとウッドストックの関係は、互いの立場が入れ替わりたち替わり変化して、現実と夢のバランスをとっているのではないで しょうか。
私は彼女がうつだからという理由ではなく、たまたまのエゴをかけ合うような彼女と私のつき合いがその事に気付かせてくれたのだと思います。強いて言うなら ば、病だと聞かされたことは、おそらくきっかけの一つだったと思います。どちらか一方が現実をみていてどちらか一方が夢ばかりをみている関係なんて事は、 あり得ないでしょう。スヌーピーが好きで手に入れた本が、後でこのように読んでいる自分へ助言を与えてくれた気がします。カウンセリングの傾向も含んでい ますが、スヌーピー達を通して現れる様々な性格から、自分や身近な誰かの事を考えるごく当たり前なまなざしを持った一冊です。
幼い頃からのつき合い、という形は、よくあるし、貴方の中にもある、なんて物だと思う。でもそれぞれの母親のお腹にいる時からのつき合いって場合はどうだろう。
『トラベリング・パンツ』(アン・ブラッシェアーズ著 理論社)はそんな長いつながりを保つ4人の女子高生が送ったひと夏を綴ったもの。別々の地で迎える 日々を前に、体格の異なる全員がはきこなせる不思議なジーンズに出会った彼女達は定期的にそのジーンズを廻し、着る事で、お互いを思い合おうと計画する。 そして、次に会う時には最高の思い出をジーンズに刻もう、と誓ったのだ。
そして、始まる4つの夏物語。これをリンクさせるのが、お互いに向けて、何度となく出される手紙だ。それは走り書きにも似て、端的に、ストレートな思いを 表すものばかり。いかに手紙の読み手を思っているか、をのぞかせるような内容もあって、高校時代に授業中、廻していたメモを思わせる青っぽささえみえる。
ただ、そこに刻まれているのはありふれたように見える物語。それでも「あ、いいな」と思うのは、現実に潜むシンプルなつながりの美しさを語っているから、と思う。
この映画は、私も友達から"涙なしには見られない映画"と言われて紹介されました。AIDS(エイズ)への偏見をよそに隣りの家に住むデクスターと真の友情を深めていくエリックの話です。
医者でも誰も治せない病気と言われていますが、デクスターとエリックは薬を求めて旅へ出ます。その夜、テントの中で二人で寝ていると、デクスターはガタガ タ震えて汗をかいていました。エリックは「どうしたの?」と聞くと、デクスターは「目が覚めて、真っ暗だといつもこうなるんだ。宇宙の直径は百八十億光年 だって知ってる?宇宙の光が届かない距離は死ぬほど寒くて死ぬほど暗い。僕は宇宙にいて、もう戻れないような気がする。」と言いました。私は次のエリック の言葉にとても感動して涙が止まりませんでした。エリックが自分の靴を脱いでデクスターの前に出すとこう言いました。「それを抱いて寝ろよ。目が覚めて起 きた時、"これはエリックの靴"僕はこんなに臭いスニーカーを抱いている。宇宙であるはずがない。ここは地球でエリックはすぐそばにいる。」
過酷な運命から目をそらさずに精一杯生きるデクスター、それを応援するエリック、"友情"というものを改めて考えさせられます。自然と涙が溢れ出てきます。ぜひみていただきたいです。
*『マイ・フレンド・フォーエバー』は図書館で見られます。
★ 図書館では2005年2月7日から2月18日まで蔵書点検を行いました。蔵書点検の作業では図書館で所蔵しているほぼ全ての図書の所在データをチェックし ます。実際の作業は14万件の図書のバーコードを一冊ずつスキャナーで読み取って本を倒していき、バーコード読み取りの作業が終わったところから書架の清 掃をしつつ再び本を立てていくというひたすら「地道」な「肉体労働」です。
図書館休館中の正味8日間に無事点検を終わらせるためにスケジュール、作業マニュアルの作成をスタッフの1人が担当します。
Q:今回は図書館が2004年1月にシステム「LIMEDIO(リメディオ)」を稼動してから、はじめての蔵書点検です。作業の上で旧システムとかなり異なるものだったのでしょうか?
A:基本的な作業の手順は同じですが、旧システムよりも点検のエリアを 細かく区切らなければならないという手間がありました。しかし、その分データのミスが見つけやすくなったというメリットもあります。
Q:スケジュールを組む際に一番苦労したことはなんでしたか?
A:担当する人の組み方でしょうか。バーコードリーダーが2台から3台に増えたため、一人の人が何時間もずっと読み続けることが無いように平等にスケジュールを組むのがちょっと難しかったです。
☆今回の蔵書点検では6人の図書館スタッフに加えアルバイトの学生さん2名に作業を手伝っていただきました。
金彩連 国際文化学科2年
この8日間、図書館でのアルバイトは大変でしたけど楽しかったです。もともと本が好きで図書館のアルバイトをやりたかったです。体力を使う仕事だったので筋肉痛もしたけど仕事を終わった後の気分はさっぱりでした。本の点検のスピードを出すほど疲れを感じなかったです。一番大変だったのはほこりでした。ほこりが目、鼻に入ると痒くて仕事がやりにくかったです。 一番楽しかったのは、昼休み、休憩の時にスタッフの方たちといろいろな面白い話ができてよかったです。スタッフの方たちが熱心にひとつずつ教えてくれて楽しくできたと思います。また今度機会があったらぜひやりたいです。
岡本愛子 大学院2年
図書館の本(および単純作業)が好きな私にとってはとても興味深い経験でした。司書の皆さんも親切でここち良い時間を過ごすことができました。ただ体力的にはギリギリでした。
◆ 雑誌・新聞
◆ DVDプレイヤーが増設されました。
これまで2台のみだったDVDプレイヤーが増設され、全てのブースでDVDが視聴できるようになりました。
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