恵泉女学園大学

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本学について

2011年3月

いのちの光を輝かそう

学長 木村利人

今、わたしたちは今世紀最大規模の地震、津波の惨害と、原発事故の危機という言葉に言い表せないほどの事態に直面しています。 それらへの対応と展開が現在進行形であり、どのようになるのか不明で不安な状況の中にいます。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、多くの被災者の方々、またそのご家族や関係者の皆様方の上に神様のお慰めがございますように心からお祈り申し上げる次第であります。

これらの事情のために、本当に残念なことですが、卒業される皆さん方はもちろん、教職員や保証人の方々にとって大切な「卒業式」を挙行できなくなりました。
今日は卒業式の日です。わたしは本学を代表し、皆さん方と愛するご家族の方々や保証人・関係者の皆様方に、心からなるお喜びを申し上げたいと思います。
卒業生の皆さん方が一堂に会しておられるかのように、今わたしには一人一人の皆さん方の希望に満ちた眼差しや、明るく華やいだ姿が見え、楽しそうな声の響きも聞こえてくるようです。

皆さん、この4年間の多摩キャンパスでの先生方による様々なご指導、お友達のとの親しい交わり、国内外での体験学習や語学研修、サークル活動などの体験を生かして、社会で大いに活躍して下さい。
特に、恵泉に学んだ皆さん方が、いのちのルーツである「聖書」に学び、いのちを支えあう「国際・平和」を学び、いのちを慈しみ育てる「園芸」を必修で学んだことはとてもユニークだったと思います。

本学園創立者の河井道先生は、これらの三教科を統合することによって国際的にも極めて特色のある人間教育を創造しました。一人一人が、神様によって与えられた個性あるいのちの光を輝かす「恵泉スピリット」によって皆さん方は大きく成長したのです。
今日の卒業式の日を迎えた皆さん方に、河井道先生の次のようなお言葉をお伝えしたいと思います。それは、「あなた方は、恵泉の手紙です。恵泉というのは、どういう学校か、知りたかったらこの卒業生を見て下さい。 そういう手紙として、私は皆さんを社会に送り出します」ということでした。

今日、わたしも河井道先生にならって、恵泉女学園大学からの「手紙」として皆さん方を社会へと送り出したいと思います。
皆さん方に重ねて心からお祝いを申し上げますとともに、恵泉からの「手紙」として社会の中で、この恵泉において学んだことを生かし、さまざまな困難を乗り越えつつ、益々「あなたがたの光を人々の前に輝かせて」(マタイによる福音書5章16節)生きていけますように、神様の豊かな恵みと祝福を心からお祈り申し上げます。
ご卒業、本当におめでとうございました!

 

学園長からも祝辞があります。
ここにあわせて掲載します。

 

恵泉女学園大学 2010年度卒業の皆さんへの祝辞

恵泉女学園長 松下倶子

卒業生、修了生の皆さん、おめでとうございます。

ご存知のように皆さんの卒業式の直前、3月11日に私たちは東北、関東地方が1,000年に一度といわれる巨大な地震と大津波に襲われ、さらに原子力発電所の大事故が起こるという大変な状況に置かれることになってしまいました。 そのために、今年度の卒業式を取りやめとすることになりました。皆さんの手元に届く学位記を卒業のしるしとして大切にしてください。 そして被災地で避難生活に耐えておいでの方々に早期に支援が行き届くようにお祈りください。

今、皆さんは4年間または2年間、多摩キャンパスでの学びを終え、ある方々は実社会での生活に、ある方々は更なる研究を続けるためにこれまでとは異なる立場で新たな学生生活を始められようとしておられます。 ひとつの大きなことを達成して、区切りを迎えたことに喜びを感じていることとお察ししています。

大学を卒業される方々は4年前に入学されたとき、大学生の勉強とはどんなものだろうといろいろな不安が一杯だったと思います。 4年の間、先生方の丁寧なご指導、職員方の温かい支えを受け、よい友人を得て思い出深い恵泉生活を過ごしていらしたことでしょう。 基礎的な教えを受けて、物事を学ぶ学び方を身につけられ、特に関心を持ったテーマを自ら選んで研究し、卒業論文をまとめられたのだと思います。 ある講義を聴いて、興味、関心をもったことをより深く自ら学ぶために、先行研究を調べ、多くの本を読み、自分の考えを形作って行く卒論作成のプロセスはこれから社会に出て、職業生活をおくる場でも役立つものです。 どうぞ与えられた職責をはたすために経験を活かしてください。
大学院の課程を修了された方々は、大学での学びの中でとくに興味深かったテーマをさらに究めて、研究を続け、自論を展開して、修士の学位を獲得されたのだと思います。 これからは更なる研究に、実社会での仕事に、これまで培った研究的な取り組み方を生かしていっていただきたいと思います。

「学業」から得る成果とともに、皆さんは恵泉生活を通してこの大学が皆さんにぜひ学び取っていってほしいと願っていた「こころ」に触れてくださったと信じています。 日々、チャペルで心静かに神様に礼拝を捧げるときを過ごして自分自身を見つめ、この大学の特色とされている様々なフィールドワークに参加して体験からしか得られないことを学び、生活園芸など自然を慈しむ体験から人間の力の及ばない神様の恵みを感じることを経験されたことと思います。
創立者河井道先生は、こうした体験から学ぶことを基本として、世界の平和を願って地球を自分の活動の場として、活躍できる女性を世に送りだしたいと 熱望されて、恵泉女学園を開校されたのでした。小さな島国日本の女性が学びを深めて、社会に起こっている問題に深い関心を持ち、「世界が私の仕事場」という意欲を持って活躍することが世界に平和をもたらすのだと説かれました。皆さんは創立者の夢を実現する方々です。意欲を持って挑戦してください。

保証人の皆さま、この度は本当におめでとうございます。これまで、学生方を慈しみお育てになり、大学入学後も影になり日向になり、心を込めて物心ともに支援をしてくださったことと思います。今、卒業を迎えられてのお喜びはいかばかりかとお察ししております。
皆さまには恵泉会会員として学園をご支援いただいておりましたことにもお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

学長はじめ全教職員の皆さんが、学生方に配慮に満ちた研究指導、快適な学園生活のための様々な整備、就職に関する細やかな支援を惜しみなく提供してくださったことによって、今日の日を迎えることができたのです。慰労と感謝を申し上げたいと思います。

卒業される方々は、これから同窓会員です。同窓会役員の皆さまには大勢の新入会員を迎えられ、より大きなファミリーになられることを喜んで、更なる活発な活動が広がりますようにと期待いたします。

卒業生方はいよいよ船出をされますが、これまで学び得たことを大切にして、自信をもって大海を進んでくださるよう願っております。