恵泉女学園大学

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2007年9月

いのちの尊厳-シュバイツアー博士に学ぶ

シュバイツアー博士って誰なのでしょうか。
アフリカの地で医師として奉仕し、ノーベル平和賞を受賞したシュバイツアー博士の名前は、アメリカなど世界各地の若い世代の間では現在では、殆どなじみがなくなりつつあるようです。
しかし、日本では現在も高校の「倫理」の教科書において、「人間と自然」とか「人間としてよく生きる」などの章でシュバイツアー博士のことがよくとりあげられています。
私の専門であるバイオエシックスの視座からも、特にシュバイツアー博士の「いのちを中心においた」哲学と倫理思想が注目され、「環境倫理」に多くの示唆が与えられているのです。
今夏、来日されたアメリカのシュバイツアー協会・会長であるハーバード大学のフォロー教授は、シュバイツアー博士の「いのちの尊厳」をめぐって、最近新しい動きが生まれて来た様子をお話ししてくださいました。
それは、具体的にはシュバイツアー博士の「いのちの尊厳」の思いが、世界の各国の若もの達のミュージック・イベントとして、グローバルに広がりつつあるということでした。
今年の4月22日の「世界環境の日」には、若もの達のための、若ものによる約300もの音楽コンサートが全世界の六つの大陸で開催されたとのことでした。
フォロー教授は、現代においてこそ、シュバイツアー博士が唱えられた「いのちの尊厳」の考え方がますます重要になって来たと述べ、次の4点をあげられました。
第1に、全てのいのちの尊厳の心を養うこと。
第2に、他者への奉仕によって人間は真の喜びを得ること。
第3に、未来の世界を創り出す少年少女の理想を育てること。
第4に、人間精神を豊かにし、エネルギーを与えて新鮮にする「いのちの音楽」の輪を広げること、などでした。
シュバイツアー博士が、ノーベル平和賞を受賞したのは1952年のことでしたが、博士は核実験の禁止と核戦争の脅威を鋭く指摘しています。そして、その核の脅威が消えてはいない今、シュバイツアー博士が唱えられた「いのちの尊厳」を「いのちの音楽」の輪によって広げていくためのプロジェクトが計画されているのです。それは、あとほぼ半年後の2008年4月2日が、第2回の「いのちの尊厳・いのちの音楽」のためのグローバル祝典日に設定されていて、誰でもがこれに参加出来るということです。
参加の条件は、第1に、いのちの尊厳をテーマに、音楽会や奉仕グループや支援活動などを計画する。第2に、その活動をwww.reverenceforlife.orgに登録する。第3に、それらのイベントの責任者が、「いのちの尊厳」について、自分達のメッセージを世界に向けて発信するのです。そのメッセージとともに、イベントの開催地がインターネット上の世界地図に「デジタル・ひまわり」で表示されるというのです。
シュバイツアー博士が唱えられた「いのちの尊厳」は、恵泉女学園大学が人間形成のための教育の大きな3本の柱としている「聖書」「国際」「園芸」を学ぶ基盤にある考えと重なりあっていると思います。
今週から始まる秋学期もまた、ともにキリストの教えに従い、「信仰」と「希望」と「愛」に生きるために学びつつ、祈りつつ、真理を目指し前進して行こうではありませんか。

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