恵泉女学園大学

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本学について

2007年4月

今月は、学長からのメッセージとして、去る4月3日に、本学の多摩キャンパスで行われた「入学式の式辞」(要約)を下記に掲載します。

「いのちの泉」

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
また、保証人の皆様方にも心からお祝い申し上げます。
皆さん一人ひとりにとって、今日は新しい人生のStoryが始まる日です。
恵泉女学園大学案内の表紙には「Story」と書いてありますが、それはこれからはじまるこの大学での皆さん方の新しい人生のStoryを充実させ、豊かにし、大きく展開させる「物語り」を、教職員ともども一緒につくり出して行こうと言うメッセージなのです。そして、皆さん方は、今日からこの「恵泉女学園」というStoryの書き手の一人になりました。
恵泉女学園のStoryは1929年に遡ります。その創設者は河井道先生で熱心なクリスチャンでした。河井先生は「恵みの泉である女子の学びの園」として、恵泉女学園と名付けたのです。「誰も泉を作ることは出来ない。それは創造主からの賜物である。わたしの学校もその通りである。いのちの源から湧き上がる恵みの賜物とさせたい」と語っておられます。
正に、ただ今お読み頂いた聖書の箇所にありますように「永遠の命に至る水がわき出る泉」(ヨハネによる福音書、第4章14節)こそが、恵みの泉なのです。それが神の恵みの泉である「恵泉女学園」を創設された河井先生のお考えだったのです。
世界に開かれた「キリスト教の精神」、それに日本ではじめて学校の教科となった「国際」と「園芸」を教育の3本の柱とする建学の精神に基づく人間形成は、当時の日本の社会的状況の中では、たいへん新鮮なものでした。実は、現在でも、世界的に見てユニークな人間形成の教育理念として注目されているのです。
河井先生が最初の第一ページを書かれてから、今年は78年目、大学が新設されてからは19年目を迎えて、恵泉のStoryは絶えまなく書き続けられ、大きく展開されて来ました。
新入生の皆さん、このような「神の恵みの泉」としての建学の精神をふまえつつ、それぞれユニークな個性を伸び伸びと発揮させていきましょう。「聖書の教えに沿って人間の尊厳を学び、自分自身が良く考えた上で、自分の考えをハッキリと主張し、正しい判断のできる人におなりなさい」と河井先生は語られたのでした。私自身、このような河井先生にかつて、直接お目にかかることのあったのは、大きな幸いでした。
本学には、学部・大学院ともども世界の第一線の学問研究と教育、そして国際的な経験が豊かな素晴らしい教職員が数多くおられます。その先生方に囲まれた恵泉らしい少人数教育のメリットを生かし、どうぞ皆さん方の新しいユニークなStoryを自由に、そして大胆に展開して下さい。
私達の大学には、勉強のための使い易く内容が充実した図書館、コンピュータ学習環境を支えるメデイアセンター、礼拝やオルガンコンサートなどのあるチャペルがあります。このチャペルでは、毎朝、チャペルアワーが行われます。教職員や学生達によるメッセージや、共に賛美歌を歌う、いわばキャンパスライフのハートとも言える時間です。心休まる静かな、わたくしたちの内側のいのちの泉のルーツに至るStoryが展開される一時になると思います。
恵泉女学園大学で、はじめてキリスト教に接する方も沢山おられると思いますが、ぜひこのチャペルアワーに参加してみましょう。きっと、新しい、いままでにない体験に出会えると思います。
皆さん、この4年間の大学生活で、「キリスト教」を学ぶことによって愛と奉仕の精神を養い、「国際」を学ぶことによって平和と協力の精神を養い、「園芸」を学ぶことによっていのちと自然を慈しむ精神を養うという、素晴らしい人生のストーリーを書いて行きましょう。
素晴らしい出合いや出来事のStoryを書いていく皆さん方のために、私達教職員一同は、全力を尽くします。そして、そのStoryが、私達の「いのちの源」であるイエス・キリストのStoryへとつながり、わたくしたち一同が「信仰と希望と愛」とに生きるようになれることを心から願いつつ、最後に河井先生がお書きになられた文章を読んで、私の入学の式辞と致します。
『「恵泉」というのは、その字の通り恵みの泉という意味です。
泉は人間がつくることはできません。
どんなお金持ちでもつくることはできないのです。
それは、私たちを作って下さった神様からの賜物なのです。
泉はこんこんと昼も夜も区別なく、とぎれることなく地の底から湧き出ます。
大きな滝になって人を驚かすことも無く、静かに人目につかないところに湧いて、いろいろな生き物に活気を与えてくれるのです。
人々の疲れを癒して、田や畑や平原をうるおしてくれるのです。
恵みと言う言葉は、聖書や賛美歌にも沢山出て来ますが、代価を払わずにただで頂く有り難い神様の愛のことなのです。
この学園も、神様の恵みが加わった泉として、よい奉仕をするようにとの意味をもっているのです。
だから、みなさんひとり一人が、神様からつくっていただいた泉になって、世界をうるおして下さいね。』

2007年度 恵泉女学園大学・大学院 入学式
2007年度 恵泉女学園大学・大学院 入学式