庭づくりのワンポイント(庭の現代事情)

2013年04月17日

街の中には、たくさんのすきまのような小さな土のある空間があります。それらは小さい故にあまりみんなの興味を引くこともなく、空き缶が転がっていたり煙草の吸い殻が捨ててあったりします。

これらの小さな土の空間は、注意深く見ていくととてもたくさんあることに気がつきます。写真の例は街路樹の足下の直径数十センチメートルから1.5メートルほどの土のある空間です。そこに宿根草を中心に植え小さな庭をつくってみました。今の季節、春の訪れを感じさせてくれる小さな島が商店街の広場の中にぽつぽつと出現しています。

街の「すきまガーデン」の続きを読む

2012年09月19日

  先日、新宿のまちを歩いていましたらこんな風景に出くわしました。最近はあまり都心に出ることがなかったのですが、久しぶりのまちのみどりの様変わりに驚きました。まちのみどりの状況に絶望的な思いをすることが多かったのですが、中高層ビルの足下に出現したみどりの風景に、ずいぶんむかし、生態学の授業で習った、「マント群落」「ソデ群落」と言う言葉を思い出しました。
 「マント群落」「ソデ群落」というのは、森林が直射日光や風に直接さらされないように、森の外縁部の中低木やツル性植物などで構成される植生です。その働きが、冬の冷たい風から人を守ってくれるマントや、体の中に風が入ってこないよう小さく絞られたセーターのソデの役割に似ているからだと、当時教わった気がします。都市のビル群の足下の植栽に、そのような機能が期待さえているわけではありませんが、新宿のまちでなぜか、そんな生態学の教科書にのっていた言葉を思い出しました。エコロジーや生物多様性、あるいはエコトーン(推移帯)という言葉を日常の生活の中で出会うことが多くなりました。しかしそれらが実際生きている風景に出会えることは、繁華街ではなかなか多くありません。エコロジーとウィンドーショッピングがともにある、新しいまちの姿が生まれつつあることを歓迎したいと思います。
(ランドスケープデザイナー 横山裕幸)

2012年02月29日

まちで出会った庭や、庭づくりの現場で感じたことなど、まちの庭やみどりについてつれづれに書いていきたいと思います。
最近こんなご相談が受けることが多くなってきました。『自家用車を手放すことになったので、駐車場を庭にしたいのですが、どうすればいいですか』と、わたし自身を顧みましても、子どもたちが小さい頃は夏休みにキャンプに出かけたり、急病の折には病院に連れて行ったり、車は今よりもずっと必要な道具でした。でも子どもたちが独立しつつある今、車は週日は駐車場に置かれたまま、週末もほとんど乗られる事はありません。首都圏の貴重な土地、これほどもったいない事はないと思います。
早速、コンクリートの舗装を剥がし、穴の空いたブロックを敷き、隙間に芝生を植えることをご提案しました。これで降った雨も土の中に戻っていき、気化する水分は、周辺の熱を奪って夏の暑さを和らげてくれることになります。まわりには中低木を植え、いずれは落ち着いた庭となるでしょう。長い間コンクリートで固められていた地面が久しぶりに水を吸い、息をし始め、やがて木や草が甦ってくる風景は見ていてほっとするものです。

まちの庭たちの続きを読む

芝生も生える穴の空いたブロックによる駐車場

このページを他の人と共有する

 

このページのトップへ