庭づくりのワンポイント

マント群落。ソデ群落?

2012年09月19日

  先日、新宿のまちを歩いていましたらこんな風景に出くわしました。最近はあまり都心に出ることがなかったのですが、久しぶりのまちのみどりの様変わりに驚きました。まちのみどりの状況に絶望的な思いをすることが多かったのですが、中高層ビルの足下に出現したみどりの風景に、ずいぶんむかし、生態学の授業で習った、「マント群落」「ソデ群落」と言う言葉を思い出しました。
 「マント群落」「ソデ群落」というのは、森林が直射日光や風に直接さらされないように、森の外縁部の中低木やツル性植物などで構成される植生です。その働きが、冬の冷たい風から人を守ってくれるマントや、体の中に風が入ってこないよう小さく絞られたセーターのソデの役割に似ているからだと、当時教わった気がします。都市のビル群の足下の植栽に、そのような機能が期待さえているわけではありませんが、新宿のまちでなぜか、そんな生態学の教科書にのっていた言葉を思い出しました。エコロジーや生物多様性、あるいはエコトーン(推移帯)という言葉を日常の生活の中で出会うことが多くなりました。しかしそれらが実際生きている風景に出会えることは、繁華街ではなかなか多くありません。エコロジーとウィンドーショッピングがともにある、新しいまちの姿が生まれつつあることを歓迎したいと思います。
(ランドスケープデザイナー 横山裕幸)

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