大学での「学び」の多様性 国際社会学科

2017年06月07日  ゼミ/授業名:田中ゼミ

大学での学びは、高校までの勉強と異なり、学生個人個人が、自分が関心を持ったことを主体的に学ぶことが求められます。初めは戸惑う方も多いですが、言い換えればこれは、「大学ではすべてのことが学問になる」ということでもあります。

わたくし個人の専門は中国史学史ですので、私のゼミを選ぶ学生の方は、やはり中国の歴史や文化に関心を持つ方が多いです。こういった学生の多くが関心を持っているのは、三国志、『封神演義』、秦の始皇帝など、中国史でもいわゆる「人気がある」とされているテーマです。ゼミに所属した学生は、専門的な学びを重ね、卒業時には自分で選んだテーマにもとづいて卒業論文を執筆することが求められますが、このテーマには非常な多様性が見られます。歴史や文学を正面から扱った卒論が最も一般的なのはもちろんですが、最近とみに増えているのが、中国史にまつわる娯楽作品を対象とした卒論です。

昨今の日本では、中国史に限らず、歴史に興味を持つきっかけとして、映像作品・漫画、そしてゲームの影響は非常に大きいものがあります。たとえば三国志について言えば、陳寿の著した歴史書『三国志』を読むことではじめて関心を持つケースはほとんどありません(当たり前と言えば当たり前ですが)。以前は吉川英治の小説から入るケースが多かったですが、私たちが子供のころは、横山光輝の漫画や、NHKが放映した人形劇、そして普及しはじめたコンピュータゲームの影響は非常に大きいものがありました。日経が横山三国志を用いたCMを打ち出したことは、横山三国志の影響力の大きさを物語っています。そして最近の学生たちに三国志に興味を持った理由を訊ねると、ほぼ例外なく「ゲームから」との回答がかえってきます。とくにコーエー『三国無双』シリーズの知名度と人気は圧倒的です。ゲームを扱った卒論を書きたいという学生がふえてきたのは、必然の帰結と言えましょう。

もちろん、単に「このゲームは面白い」とか「この登場人物はイケメンだ」といった主観的な感想を並べるだけでは、研究になりません。ですが、最近の日本における三国志イメージを語る上で、ゲームが欠かせない存在となっているのは確かであり、その分析や研究を行うことの社会的意義は、決して小さくありません。「どういったゲームのどういった描写には何か起源があるのか、あるいはどこからどこまでがオリジナルなのか」、「制作者サイドがこのような描写をおこなった意図・理由は何か」、そして「そのゲームは人々の持つ歴史観にどのような影響力を持っているのか」といった点を客観的に分析し、ひいては「わたしのこの研究は、社会に対してこんな意義を持っている」と主張できれば、それは独自かつ立派な研究となります。

冒頭に書いた「大学ではすべてのことが学問になる」ということは、高校生までのみなさんにはピンとこないかもしれません。ですが、まずは「好きなこと、興味あることに取り組むことができる」のが、大学における学びなのです。

写真は、中国でお土産として購入した羽扇です。諸葛亮を語る上で欠かせないアイテムというイメージが強い羽扇ですが、諸葛亮と羽扇をむすびつけることが定着したのは、かなり後世になってからだとも言われています。

担当教員:田中 靖彦

「歴史はどのように書かれてきたか」をテーマに、主に中国の歴史を題材として研究しています。始皇帝・諸葛孔明などの歴史人物は、中国はもちろん日本でもよく知られています。こういった人々を、中国の人々はどのように捉え、評価してきたのか。その評価は、どのような変遷を遂げてきたのか、そしてそこには、どのような時代背景があるのか。こういった切り口から、中国の人々の歴史観と中国の文化について、学んでいます。

田中 靖彦

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