福島いわきフィールドトリップ~東日本大震災被災地を訪ねて 現代社会学科

2015年02月19日
 ゼミ/授業名:教養基礎演習II(松村ゼミ)

現代社会学科では、1年次の秋学期に開く全てのゼミで、フィールトリップ(FT)を実施しています。松村ゼミでは、東日本大震災・福島第一原子力発電所事故の被災地(津波、放射能汚染等)である福島県いわき市周辺を訪ねました。

今回の福島いわきFTの目的は、今も残る被害の実態や復興の現状と課題などについて学び、これからの社会のあり方について考え、行動していく手がかりを得ることでした。私たちは、関連するドキュメンタリーを見たり、文献を読んだり、また、チーム力を高めるワークショップをおこなうなど事前に学習してから現地へと赴きました。

日程:12月20日(土)~21日(日)/参加者:松村ゼミ1年生9名
【1日目】
8:00上野駅~いわき駅~11:14久ノ浜駅→久之浜津波被災現場→浜風商店街<仮設商店街>[昼食]→国道6号線を北上、広野町-楢葉町(Jビレッジ)-富岡町(富岡駅)→いわき食品放射能計測所(常磐教会)→古滝屋[夕食、ふりかえり]
【2日目】
8:30古滝屋→オーガニックコットン栽培地で和綿収穫→ニイダヤ水産・道の駅よつくら港(四倉)→古滝屋[昼食、ふりかえり]→15:23湯本駅~17:38上野駅

現在、報告書を作成中ですが、参加した学生の感想をいくつか紹介します。

富岡町での景色は衝撃的だった。まだこんなにも瓦礫があり、船や車がひっくり返っているなんて思っていなかった。線量計も大きな音を出して鳴っていて、少しの間だったが、良い気分はしない。バリケードで区切られて帰れない家も見たが、・・・人が住んでいない家は想像以上に腐敗が進み、帰れたとしてもゼロからのスタートではなく、マイナスからのスタートになるという話は理解しやすい表現だった。(T.K.)

商店街で出会った奥さん方も家族を津波で亡くし、遺体の捜索も行い、沢山の悲しみを背負っていたが、私たちにはそれを感じさせないほどの素敵な笑顔を見せてくれた。干物屋さんのご主人も、津波で加工場が飲み込まれ、さらに原発事故により魚すら獲れなくなってしまい、絶望したにも関わらず、とても陽気にお話をして下さった。しかし、お話の中に垣間見せた悲しそうな顔、「地震と津波だけならまだ良かったけど、原発事故さえなければ...」というご主人の言葉が忘れられない。(T.C.)

今回知って考えさせられることが多かった。賠償金の額や放射能に対する意識のギャップで、地域コミュニティや家族との間に亀裂が入ることは珍しくないという。このような問題は、(以前別にボランティアで訪れた)宮城との違いであると思った。原発事故は、身体のみならず精神までも傷つける。・・・しかし、共通している部分もあった。それは、現地の方々の温かさである。宮城の方も福島の方もみなさん元気で、話していると楽しい気持ちになる。それは、震災という大きな苦しみを味わったとは感じさせないほどだ。私は現地に訪れるたびに、彼らの強さに圧倒されてしまう。(F.M.)

福島いわきFTのコーディネート、および現地ガイドを引き受けてくださった里見喜生さん(NPO法人ふよう土2100)には大変お世話になりました。ありがとうございました。

仮設の「浜風商店街」にて被災者の方々とともに

常磐線「富岡」駅近くの慰霊碑前で黙祷

FT2日間をふりかえるワークショップ(宿泊した古滝屋にて)

放射線量が高く立ち入ることができない帰宅困難区域

担当教員:松村 正治

さまざまな人びとや生きものが、この社会で共に生きるためにはどうすればよいのでしょうか。「他者と共に生きる」ことを考えるためには、自分の足で調べ、自分の頭で考え、新しい社会を作ろうとする意欲が必要です。社会の中で自分を生かせるスキルと、相手の立場に寄り添えるコミュニケーション力が持ち合わせた大人になるために、共に学び、気づき、成長していきましょう。

松村 正治