日本の女性議員:どうすれば増えるのか

三浦まり編著 朝日新聞出版(314.1/M)

多くの女性議員が国政選挙で誕生した1990年前後のマドンナ旋風も今は昔。その数は他の国と比べても圧倒的に少ない。確かに、内閣が誕生するとき、「女性閣僚○人」などと話題になるくらいであるから、推して知るべし。しかし、ただ増えればいいというものでもないので、男性、女性に限らずその資質が問われている。(Y)

 

世界を読み解くためのギリシア・ローマ神話入門

庄子大亮著 河出書房新社(164.8/Sh96)

小学生の頃、子ども向けに書かれたギリシア・ローマ神話を読み耽った。さて、大人になって再び読み返す機会がなかったが、美術館に行くと、神話を題材にした絵画がたくさんあり、また、アニメ、企業名等にも神々の名前がよく使われている。どんな神なのか知っておくだけでも、世界が広がるかも。(Y)

 

図説初期アメリカの職業と仕事着 植民地時代~独立革命期

P.F.コープランド著 悠書館(383.1/C)

初代大統領ワシントンの肖像画は有名だが、同時期のアメリカの大衆が何を着ていたのかを示す史料はほとんどない。著者は初期アメリカの多数の人々の出身地であるヨーロッパの絵画資料やアメリカの新聞記事、広告など様々な資料をもとにして200点を上回る仕事着のイラストを描いている。描かれた人物は424名、農民や商人や医者などの他に奴隷や犯罪者まで幅広い。裏表紙の奴隷の少年は一見おしゃれな服装をしているようだがよく見ると首には銀色の首輪がはまっている。本書の1点1点の絵からいろんなことが読み取れるだろう。  (M)

 

僕らはソマリアギャングと夢を語る:「テロリストではない未来」をつくる挑戦

永井陽右著 英治出版(333.8/N)

紛争などのために悲惨な状況にある人々を何とかして助けたいと思っても、ちっぽけな個人の力で何ができるだろう。ましてや援助の「プロ」のような人にあっさりと現地に行っても邪魔なだけ、役に立たないと言われたら。それでも大学1年だった著者はあきらめず「自分(たち)だからでできること」を探し続け、出会ったのはテロリスト予備軍といわれる同年代のギャングたちだった。彼らの社会復帰を助け、仲間としてともに社会を変えていく活動が続いている。  (M)

 

燃える森に生きる:インドネシア・スマトラ島紙と油に消える熱帯林

内田道雄著 新泉社(652.24/U)

インドネシア・スマトラ島の熱帯林が急速に消失している。製紙用の植林地と油ヤシ農園のための熱帯林の大規模開発、残った樹木の盗伐、森林を失い生活に迫られた住民の焼畑。別々の立場の人々それぞれの必要からくる行為が、森の消失の過程を担ってしまう。日本国内に出回るコピー用紙の3割がこのインドネシアから輸入されているという。(A)

 

なぜ蚊は人を襲うのか

嘉糠洋陸著 岩波書店(498.6/K)

蚊は刺されると痒いだけでなくマラリアや最近のデング熱など、感染症を媒介する人類にとって手強い敵。しかしなぜか自らはそれらの病気に罹らない。またシベリアなどの寒いイメージの地域でも、蚊は大発生し、大挙して繰り返し襲われた動物の子供は、貧血で死んでしまうほどだとか。蚊を求めてアフリカやアマゾンにまで赴き、万単位の蚊を研究室に飼う著者の目を通すと、小さな蚊が段々不思議な存在に思えてくる。(A)