大学院生インタビュー

恵泉女学園大学の大学院では多様な学生が学んでいます。学部からそのまま大学院に進学した方もいますし、一度社会に出て仕事をし、社会人としての経験を専門的に深めるために大学院で学び直す方もいます。今回は、社会人大学院生として恵泉で研究するシャープ茜さんにインタビューをしてみました。

「大学卒業後に一度社会に出て仕事をして、家庭を持って、子育てをしている今だからこそ学べることがある」

シャープ 茜さん 平和学研究科平和学専攻1年

なぜ恵泉の大学院で学ぼうと考えたのですか?

経営学を大学で学んだ後、社会福祉系の仕事に携わる傍ら、Bridge For PeaceというNPO団体(フィリピンの戦争被害者と元日本兵の体験を聞き取るなどの活動を行う団体)にボランティアとしてかかわっていました。その後、結婚をして子育てをするようになり、その活動から離れるようになりましたが、国際問題についてニュースで聞くたびに何か行動したいと感じていましたし、国際協力の分野で仕事をしたいとも思っていました。しかし、それには経験や知識、語学力が不足していることもわかっていました。そんなとき、ある大学教授に自分の夢を語ったところ、「大学院で平和学を学んだらいいじゃない」と助言を受け、「大学院 平和学」で検索したところ、「(2016年当時)日本で平和学の修士をとれる唯一の大学院」として恵泉女学園大学の名前が出てきたのです。

社会人にとって大学院入試はどんな経験でしたか?

「研究計画書とは?」というところから始まり、何もわからないまま準備を始めました。入試自体よりも出願に至る前の方が苦労しました。週5日仕事をして、3人の子どもの育児をしながらの準備で四苦八苦でしたが、家族や友人の協力や励ましのおかげで乗り越えることができました。

大学院での授業や研究はどうですか?

これまで平和学研究、市民社会活動(NGO)論、国際社会論、フィールド調査法などを履修してきましたが、書籍や論文の要約の課題が毎週出る授業があり、いつも授業の直前に課題が出来上がるという状況でした。毎回の要約は楽ではありませんでしたが、重要な点がどこかを探す読み方や、理解力、要約の方法が身につき、すごく勉強になったと思っています。
少人数クラスで、先生と学生とでさまざまな議論をするのは楽しいです。自分の知らなかった情報がどんどん入ってきて、毎回刺激を受けています。論理的に考え、話すことが苦手なので、もっと知識を吸収し建設的な議論ができるようになりたいと思っています。

 

指導教員の上村英明先生の授業を受け、平和に関する自分の見方にいい意味で影響を受けました。平和について単に感情的に見るのではなく、客観的に捉え批判的に考察するということを学んだと思っています。元々は難民支援の仕事に関心がありましたが、恵泉で学び自分の研究テーマと向き合う中で方向性が変わってきました。今は多文化教育、異文化理解に関心を持つようになり、その分野に進みたいという気持ちが芽生えてきています。

社会人として大学院で学ぶことの特有の難しさや楽しさはありますか?

大学生のときは、学業以外のことが楽しく、ほとんど勉強をしていなかったと思います。しかし、仕事をして、家庭を持って、子育てをしている今だからこそ気づけたことがたくさんありました。その視点を持ちながら学ぶことはとても楽しいです。子どもの未来を考え、「この子を守りたい、そのために行動したい」と思えますし、身近な問題として平和について考えることができます。子どもと一緒に勉強するので、子どもに勉強している自分の姿を見せることもできます。

一方で、親であり、主婦であるため、学生としての自分への切り替えが難しいです。勉強以外のことに時間が割かれてしまうので、短時間に集中して勉強をすることにしています。

恵泉の魅力はどんなところにあると思いますか?

先生方がとても親切なところです。学生に寄り添っているという感じがあり、威圧感があまりなく、とても話しやすいです。少人数制ということも、授業の中で話しやすい雰囲気につながっていると思います。問題意識や学ぶ意欲が高い学生が多いことも、一緒に学ぶ立場として魅力的ですね。

社会人として大学院を志す方々に何かメッセージはありますか。

2016年に一度恵泉の受験を考えた結果、困難があり断念しましたが、2018年に受験して、合格しました。仕事と学業の両立や、学業に専念すること、そのいずれも簡単ではないと思います。 それでも、社会に出たからこそ気づけることがあり、それを活かして学ぶということはとても楽しいです。将来的に仕事にも良い効果が生まれ、何より自分自身への素晴らしい投資になるんじゃないかと思います。一歩を踏み出すことには勇気がいることもありますが、背中を押してくれる何かがあることを願っています。