恵泉ディクショナリー

塩害国際社会学科

[えんがい] 

塩害とは

2011年3月11日の東日本大震災では、沿岸部の水田や畑地が津波によって海水をかぶり、土壌中の塩分濃度が高まったために、農作物の植え付けができない状態に陥った。塩害とは、海水などの水分中に含まれる塩分などによって、農作物や金属・コンクリートなどの構造物などが負の影響を受けることをいい、多くが海岸に近いところで発生するとされている。
その一方、国際的には、例えば、四大文明やローマ文明の崩壊の一因として、過度の森林伐採・農用地の使用・灌漑の結果として発生した塩害といわれている。さらには、現場を訪れた国連の潘 基文(パン・ギムン)事務総長が「世界で最悪の環境破壊」と述べた中央アジアのアラル海とその周辺の塩害が現代の代表例であろう。アラル海の上流域では、綿花栽培のために、カザフスタンとウズベキスタンを流れるアムダリヤ川とシルダリヤ川の水が中流域で大量に取水されたために、アラル海に流れ込む水量が大幅に減少したためアラル海の面積が縮小しており、アラル海の再生は不可能とまで言われている。これらの塩害は、農作物の栽培のために過度の灌漑をおこなうと、地下に堆積する塩分(多くの場合、太古は海であった)が水分とともに毛細管現象によって土壌の表面に輸送され、水分は蒸発するため、塩分が土壌面に蓄積されることによって発生する。さらには、化成肥料の大量投入によって、作物に吸収されない肥料分は灌漑用水に溶け込み、下流域の農地などで塩分を蓄積することにも結びつく。これは、乾燥地帯で発生するという特徴の塩害である。
恵泉では、国際関係・環境・開発にかかわる分野の国際関係入門、国際協力論といった講義でアラル海の塩害、四大文明の消滅などが採り上げられている。

2012年10月11日 筆者: 谷本 寿男  筆者プロフィール(教員紹介)

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