この夏のサマープログラム報告

2019年09月02日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

8月は猛暑・酷暑・烈暑・炎暑などの言葉が飛び交うほどに厳しい日が続きましたが、ここ数日、ようやく陽射しも和らぎ、ほっとする心地です。お障りなく9月をお迎えくださっていることを願っております。

もっとも、若い学生たちはこの暑さをものともせずに、語学留学や長期フィールドスタディ(FS)などで世界各地に出かけ、あるいは各国からの留学生を多摩キャンパスに迎えて、国際交流プログラムの実践に活躍しました。

今日は、そのうちの一つ、「恵泉サマープログラム」について、ご報告いたします。
このプログラムは今年で9回目となりますが、初回から関わってくださっている秋元美晴先生(本学名誉教授)から、下記の通り、報告をいただきました。

なお、秋元先生に関しては、先日、日本語を学ぶ外国人のための字典を上梓されたことを、このブログでご紹介いたしました。あわせてご覧いただければ幸いです

第9回 恵泉サマープログラム報告

恵泉女学園大学名誉教授 秋元美晴

2019年の第9回恵泉サマープログラムが7月25日から始まりました。留学生たちは、8月8日までの2週間、午前中はレベル別の4クラスの日本語・日本事情の授業を3時間受講し、午後は文化体験として、日光見学・抜刀体験をはじめ日本の漫画・アニメの講演や花王ミュージアム訪問、お祭り体験などに参加しました。

今年は中国、韓国、イスラエルから43名もの留学生の皆さんをお迎えしました。それでは、まず参加した留学生の声をお聞きください。

  • 「日本語の勉強は楽しかった。」
  • 「日本人ボランティアの学生さんたちがいつも授業に入ってくれ、日本語のサポートをしてくれた。」
  • 「日本語でお互いの国のことを話し合う授業は、すごく新鮮で貴重な体験だった。」
  • 「いろいろな文化体験や学外授業も楽しかった。「縁日」の体験が印象に残っている。盆踊りは、みんなが練習してきたのかと思うくらい揃っていて、おもしろかった。」
  • 「韓国と日本の関係は今悪いけれど、日本に来たら日本人はみんないい人だった。韓国に帰ったら、友だちに日本のことを話したい。」

<授業風景>

<日光見学>

<抜刀体験>

留学生の声にもありましたように、恵泉サマープログラムの特徴として、学生のボランティアがあげられます。ボランティアは日本語の授業だけでなく、文化体験やウェルカムパーティーやフェアウェルパーティーにも参加します。今年のボランティアは延べ79名にもなりました。ここで、ボランティアの皆さんの声をお聞かせしましょう。

  • 「最も印象に残ったことは、留学生の日本語学習に対する熱心さです。私はこのプログラムに参加し、外国の方に対する印象も変化し、日本語教師になりたいという思いがより一層強くなりました。」
  • 「留学生の日本語のレベルは人によってまちまちなので、どのくらい噛み砕いて話せば伝わるか、ということを常に意識して留学生と交流するようにしていた。毎回新たな出会いや発見があり、留学生も私も成長できるプログラムだと思う。」
  • 「お互いがお互いの国について教えあうことで、相互理解にも繋がりますし、今まで深く考えたこともなかった国にも興味を持つきっかけになりました。」

最後に日本語の授業を担当してくださった先生方の声もご紹介いたします。

  • 「今年は12名というクラスサイズで、国籍も中国・韓国・イスラエルの留学生が集い、最初は少々不安もありましたが、留学生のみなさんの明るさ、やる気、そしてボランティアさんの助けがあり、とても良い雰囲気の中で終えることができました。」
  • 「修了インタビューの時に、ほとんどの学生が「会話ができるようになった」と答えてくれたのが印象的でした。」

2019年の夏は、43名の留学生のみなさんにとっても、ボランティアのみなさんにとっても、日本語の先生たちにとっても、サマープログラムに関係した教職員たちすべての人にとっても忘れられない思い出となることでしょう。

<修了式とフェアウェルパーティーを終えて、全員で記念撮影>

政治・経済の分野からは、平和を蔑ろにし、脅かすような情報が日々、届けられている昨今です。
そうした国際情勢の中だからこそ、若い世代がこうして直接触れ合い、言葉を交わし、互いの理解に努める姿に希望と平和構築への願いを託したいと思います。
なお恵泉サマープログラムの詳細については、次のところも併せてご覧ください。
恵泉サマープログラム