2018年度を振り返って

2019年01月28日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

本日は秋学期授業の最終日です。これから卒業論文・修士論文口述試験、卒業式・学位授与式などの行事が続く一方で、2019年度の新入生を迎える入試等の行事を控えていますが、2018年度の授業は本日をもってすべてを終えることとなります。

この一年は本学が鋭意取り組んでいる「生涯就業力」の手ごたえを感じることができた一年でした。本ブログでも都度、ご報告してきたことですが、ここに改めて振り返ってみたいと思います。

まず直近では、文部科学省「大学等におけるインターンシップ表彰」において、本学の「タイ長期フィールドスタディ(フィールドスタディⅡ〜Ⅴ)」が選考委員会特別賞を受賞したことです。

この表彰の対象となった「タイ長期フィールドスタディ」は、本学が20年前から取り組んできた教育プログラムで、タイ北部の山岳少数民族の村やNGOに2ヶ月半、前後の事前・事後学習時間を加えると約5ヶ月間、タイに滞在して学ぶというものです。広く国際に目を開き、異なる歴史や文化を背負って生きる人々への真の理解と共生の力を育むことをめざした本学の教育理念を具現化したプログラムの一つです。

折しも、2018年は大学設立30周年の年でもありました。学園史料室の『「平和研究入門」に見る恵泉女学園大学の平和教育』にまとめられた開学以来の本学の平和教育の歩みは、ただ国際機関等で活躍する人材の育成にとどまらず、むしろ平和に貢献する市井の市民の育成を意図したものであることを再確認いたしましたが、上記の受賞はその足跡の一端を認められたという思いです。

近未来に未曾有の変動が言われ、世界情勢が不透明感を強めている中で女性活躍の必要性が求められている昨今ですが、そうであればこそ、世界に目を開き、他者との共生を心に留めて平和の構築に尽くす自立した女性の育成を目指して1929年に学園を創立した河井道の教育理念は、90年を経て改めてその意義と真価の発揮が求められているのではないでしょうか。社会の変動の中、厳しい岐路に立つことがあったとしても、生涯にわたって自分らしく生きる目標を忘れず、身近な大切な人、地域・社会のために尽くして生き続ける力、すなわち「生涯就業力」が必要なのです。

具体的には現状を冷静かつ客観的に把握・分析してたくましく解決し続ける力であり、そのための知識・理解・技能を身につけることですが、ここで何よりも大切なことは、他者と共に歩み、共に生きようとする志向性です。

自分が輝くことだけに心を奪われることなく、周囲の人もまたその人らしく輝けるよう、そのような光を発する人となることを願った河井道の言葉、「汝の光を輝かせ」る力の育成は「生涯就業力」のコアをなすものですが、それが海外から着目されたことも、大きな喜びでした。昨秋、「女性活躍の時代の新しいリーダーシップとは」と題して韓国の梨花女子大との国際シンポジウムを開催し、本学の掲げている「生涯就業力」と梨花の「分かち合いリーダー」との理念の一致を確認したことで、両大学間の協定締結の運びとなりました。

梨花女子大は女子教育130年余りの歴史をもつ世界屈指の女子大であり、これまで世界を牽引するあまたの競争的なリーダーを輩出してきていますが、従来とは異なる女性活躍のリーダー像の模索を始めていることは、近未来の趨勢を鋭く見据えてのことと考えます。昨年、一昨年と過去3回にわたって、女性の生き方と女子大の使命をめぐってシンポジウムを積み重ねる中で、女性活躍の時代に生きる新しいリーダーシップの育成の必要性とそのために女子大が果たすべき使命を確認しあった結果の協定締結に至ったことは、本学の「生涯就業力」を世界に発信していく新たなステージを得たと言っても過言ではないと考えております。

目下、「生涯就業力」のさらなる具現化をめざして中期計画及び事業計画を組み、2019年度のカリキュラム改革と年間行事等の策定に当たっているところです。

女性活躍がいわれている一方で、未だ、女性の人生がさまざまなライフイベントや周囲の固定的な性別役割観にしばられて、自分らしい人生とはほど遠い生き方を余儀なくされることも少なくありません。また時代錯誤的な女性蔑視の言動や記事が、心ない一部の媒体や人々によってなされていることとはいえ、世間から払しょくされていない現状は誠にゆゆしく、言語道断であることは言うまでもありません。

真の女性活躍と平和な社会の到来を願って、改めて「生涯就業力」の学内での徹底は言うまでもなく、広く世界への発信に努めることに思いを新たにしております。

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