天城学長会議に参加して

2018年07月30日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

7月20~22日(金~日)の3日間、「天城学長会議」に出席いたしました。

この会は日本IBM株式会社の主催で、今年で36回目。全国から集った国公私立大学の学長たちが、伊豆半島伊東のIBM天城ホームステッドで、2泊3日のスケジュールで自由に討論する会です。
今年のテーマは「キャリアパス形成における大学の役割」。

少子化と国の財政事情が日本の高等教育に与える問題が山積する中、入学者の多様化等、これまでの人材養成の目的の変更と共に、それを受け入れる大学側に求められる課題等を考えようという趣旨のもと、以下のようなプログラムで開催されました。

基調講演1大久保幸夫氏(リクルートワークス研究所 所長)
基調講演2 山岸裕美氏 (アサヒビール(株)理事)
川上結子氏 (日本IBM グローバル・ビジネスパートナー)
特別ゲストセッション林芳正氏(文部科学大臣)
分科会討論

今年の参加者は55名でしたが、その内、女性学長は9名(国立2大学、公立1大学、私立6大学)で、過去最多とのことでした。

女性学長の参加が3、4名にとどまっていたこれまでと異なり、今年は会議の雰囲気も議論の内容も幾分変化したとのことですが、私が興味深かったことは、やはり女性活躍に関することでした。たとえば、これほど目覚ましく女性が活躍する時代に、はたして女子大の存続意義はどう考えるのかという声もありました。しかし、一部の華やかな女性活躍の裏に、実はどれほど多くの女性たちが社会の表舞台から退却せざるを得ないでいるのか、その現実をしっかり見つめ,社会の制度や施策を一層固めると共に、女性自身の意識・マインドの醸成が必要であり、改めて女子高等教育機関としての女子大の役割があるということを何人かの女性学長たちと確認しあいました。

また、これからの時代にどのようなリーダーシップが必要なのかについて、SOCIETY5.0に触れながら語られた林文部科学大臣の講演内容も、本学が秋に予定している国際シンポジウム「女性活躍時代の新たなリーダーシップについて」の趣旨と共通する点が多く、感銘深いものでした。
なお、真の女性活躍のための教育は大学だけでできることではなく、中学高校時代の教育との連携も大切であるとの議論もあり、この点についても秋の国際シンポジウムにつながる視点を確認いたしました。

日頃、大学運営などの激務に追われている学長たちですが、どの方も話題が豊富で話術にもたけていらして、公式な議論の場でのディスカッションもさることながら、交流会の場などで屈託なく自由に語り合うひと時に、たくさんのヒントと元気をいただけました。
朝7時の朝食会に始まり、夜10時過ぎまで続くタイトなスケジュールでしたが、とても充実した2泊3日でした。

天城連峰の雄大な自然に恵まれたすばらしく快適な施設の中で、大変行き届いたおもてなしをしてくださいました日本IBM株式会社の皆様に心から感謝申し上げます。

会場となったIBM天城ホームステッド
北城恪太郎氏と共に
(日本IBM社長・会長を務められ、長年「天城学長会議」に貢献された方です。現在、IBM名誉相談役・国際基督教大学理事長)
ロビーから富士山が見えました