卒論口述試験の報告です

2018年02月12日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

卒業論文の口述試験が、去る1月31日、全学一斉に行われました。

昨年12月、きめ細やかな教育をしている全国13の大学(朝日新聞・河合塾共同調査)に恵泉女学園大学がランクインされたことは、すでにご報告した通りですが(「学長の部屋」2017年12月25日版)、ここでの「きめ細やかさ得点」10項目の一つが卒業論文の必修化です。

本学は全学生に卒業論文(卒業制作)を必修としています。
1年次からゼミを履修し、特に2年生の後半から4年生に続く一貫したゼミ指導体制のもとで、各自の研究テーマを見つけ、関心事を追及分析していく学びの一つの集大成が、卒業論文(卒業制作)となっています。

さて、私のゼミではプレゼン方式の試験の形式をとっています。
ゼミ生一人ひとりがパワーポイントを用いて発表を行い、その後、主査・副査からの質問に応えるという形式です。

ゼミ生の卒論タイトルは次の通りです。

  • 『日本女性の社会参画と現状~女性活躍の時代を迎えて~』
  • 『なぜ今、子ども食堂なのか』
  • 『教育現場の現状と課題~不登校問題を通しての一考察~』
  • 『女性の悩みの変遷~「人生案内」の分析から~』
  • 『オノマトペの表現力~その使用場面と効果についての一考察~』
  • 『ディズニープリンセスの変遷~それを支えた女性たち~』
  • 『支援が必要な子ども(発達障害)への支援~籠の中から外の世界へ』

女性活躍を推進する政府や企業の諸制度と働く女性たちの声とのギャップを分析した『日本女性の社会参画と現状~女性活躍の時代を迎えて~』は、社会の制度改革のいっそうの推進の必要性はもとより、女性自身の意識改革、とりわけ社会に参画する前の学生時代や就職後の間もない初期キャリア期に、女性が自らの生涯とキャリアにきちんと向き合う必要性を結論としていました。そこには自身の就活を通した経験からの思いも込められていました。

また、ディズニー映画を愛してやまない学生が取り組んだ卒論『ディズニープリンセスの変遷~それを支えた女性たち~』は、素敵な王子様との結婚を夢見ている、ただ美しく、可憐なプリンセス(第1期)から、必ずしも男性への恋愛に頼らず、むしろ周囲の人と互いに個性を認め合う絆を大切にしながら、ありのままの自分を愛するプリンセス(第5期)までの変遷を丁寧に追いつつ、その変遷を支えた女性たちの存在に着目したものです。なかでも脚本や制作にかかわった次の2人の女性の言葉に惹かれたようです。

『美女と野獣』(1991年)リンダ・ウールバートン

女性解放運動を経験した私からすれば、ベルのような賢くて魅力的な若い女性が、ただ王子様が来るのを待っているだけなんて、絶対に受け入れられないことだった。黙って苦しみに耐え、汚れのない薔薇だけを求める女性? さんざんひどいことをされても、なお優しい心を失わない女性? そんなことはありえなかった。

『メリダとおそろしの森』(2012年)ブレンダ・チャップマン

とにかく、女の子らしいプリンセスという型枠を壊したかった。私が求めていたのは自ら闘い、「ノー」というプリンセス。自分の意見を主張出来るという揺るがぬ自信を持ち、自分らしくあるために闘い、けれども欠点もあるプリンセスにしたかった。

以上は一例ですが、それぞれが卒論のテーマを設定したのが3年次の秋ゼミ。そこから1年余りかけて書き上げた論文で、一人ひとりの問題意識と感性が込められた力作でした。

プレゼン前は緊張一杯の学生たちでしたが、副査のダシルバ先生から、時に鋭いご指摘をいただきながらも、それぞれが"面白い視点ですね。とても良い発表でした"というコメントをいただいて、学生たちは満面笑みに。駆けつけてくださった齋藤謁先生も交えて、記念撮影をいたしました。

プレゼン中の学生
プレゼン中の学生
プレゼン中の学生
プレゼン後の学生
(ダシルバ先生・齋藤先生と共に)

私のゼミの卒論口述試験はプレゼン方式で行いましたが、学生一人で主査・副査の審査を受ける試験方式(こちらの写真は撮れませんでした)、学会のポスターセッション方式をとるゼミ(写真:心理学の齋藤謁・喜田安哲ゼミ)など、試験方式はいろいろです。また3年生も参加して、来年の卒論執筆のための学びとしているゼミもあります。いずれも学生にとって緊張感と終わった後の大きな満足感に彩られた一日だったことと思います。

学会のポスターセッション形式の卒論口述試験(心理学:齋藤・喜田ゼミ)

口述試験後の3年生からの自由質疑応答時間(心理学:齋藤・喜田ゼミ)