「心理・教育研究室」オープン~大学の地域貢献として

2018年01月22日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

年が明けて、鏡開きを迎えた日に、多摩市議会の議長・副議長・事務局長が年賀のご挨拶に学長室を訪問してくださいました。

多摩市にはいくつかの大学があり、それぞれが特色をもった教育・研究活動をしているので、市としてはそれを地域や市民にも提供してもらえるよう、相互に連携したプラットフォームづくりに注力したいというお話をいただきました。
基礎自治体の議会関係の方々が大学を訪問してくださること自体、これまでにはあまりなかったことかと思いますが、議長・副議長が熱意をこめて語ってくださるお話をうかがいながら、改めて大学の地域貢献が求められていることを痛感いたしました。

恵泉女学園大学はこれまでも地域貢献に積極的に取り組んできています。

たとえば

  • 「恵泉英語教育研究会」Keisen English Educational Society=KEES
    学生たちが小学校・保育園・児童館・図書館を訪問して英語の楽しさを伝える活動
  • 「恵泉お話を語る会」(恵和会)
    学生たちが図書館・保育園・高齢者施設で絵本の読み聞かせや語り、手遊び等を通して、多世代交流をはかる活動
  • 施設の市民への公開・貸し出し
    南野キャンパス屋上での太陽光パネルの市民への貸し出し/学生によるオーガニックカフェの市民利用/オープンガーデン/チャペル・コンサートへの市民開放等々
  • 多摩市等との協働で、グリーンライブセンターの運営
  • 「恵泉小野路里山プロジェクト」
    町田市小野路の水田や雑木林の再生と管理を通して、自然と人間との有機的つながりに基づいた生態系や文化を学び合う活動
  • 「福島を想うプロジェクト」
    東日本復興支援として、多摩地区の市民との協働で「福島とつながる種まきネット―ワーク」や福島の子どもたちを南野キャンパスに招いて合宿などを行う「福島キッズ リフレッシュ&エコキャンプ@恵泉」などの活動
  • 国際交流
    パヤップ大学との共催によるタイ国際ワークキャンプ/タイ・韓国・台湾の学生を受け入れるサマーキャンプ

これらは大学の地域貢献活動の一部ですが、これまでもHPやSNSで随時報告がされているものですので、ご覧になった方もおられるかと思います。

今日は新たにスタートした「心理・教育研究室」についてご紹介したいと思います。

本学の社会園芸学科は、心理学と園芸学が一緒に学べる日本で唯一の学科として展開されていますが、今般の「心理・教育研究室」は、そこでの学生への教育・支援態勢を今まで以上に充実させると共に、地域との連携プログラムや学内の関連行事参加の推進を通して、研究室を地域に開き、学生たちの学びにいっそうの幅と深度をもつことを目的としています。

本学の心理学の学びの特色は「心と身体の繋がり」を重視していることも、こうした地域との連携を強める可能性を秘めていると言えましょう。3年次に文化祭(恵泉祭)で 専門家の先生の指導のもと『東洋医学健康講座』を開催していることは、その一例です。
また、恵泉祭や"ファーマーズマーケット"では『心理学専門古書・絵本や児童書の古書販売』も行っています。

社会園芸学科の学生たちは、これまでも大学院や専門職養成校などへの進学、卒業論文の学会発表などを活発に行っていますが、今後、地域の人々に開かれた「心理・教育研究室」活動を充実することで、さらに社会の中で生き抜く力を身につけてほしいと、「心理・教育研究室」を主宰している齋藤謁先生が語っています。

私も専門が心理学ですが、心理学は単に研究室の中の実験だけで成り立つ学問ではありません。むしろ、特定の文化や社会と不可分の関係で生きている人間とその行動を分析対象とする学問です。恵泉の「心理・教育研究室」が地域に開かれていくことは、まさに心理学本来のあり方を学ぶ機会を充実させることにつながり、それが学生にとっては齋藤先生が願っているような社会を生き抜く力となることを期待したいと思います。