ある卒業生との出会い

2016年10月31日

新幹線ホームで呼び止められて

先週、講演で仙台に行った時のことです。帰路の新幹線ホームで「オオヒナタ センセー」と声をかけられました。振り向くと、ビジネスバックを抱えたアラフォー世代と思しき女性。「2期生の〇〇(旧姓)です」と自己紹介してくれました。

2期生というと、今から20数年前の学生です。教職課程を履修していたとのことで、当時、私は教職課程にかかわっておりましたので、その関係で私の授業をいくつかとっていたと言います。

「今、何をしていらっしゃるの? なぜ仙台に?」とお尋ねしたいことが山ほどあったのですが、新幹線の発車間際でした。
「あるコンサルティング会社の内部監査の仕事をしていて、今日は出張で仙台に来ました」と、"内部統制統括部チーフマネージャー"と書かれた名刺をいただいたのですが、あわただしい別れとなってしまったことが、心残りでした。

メールに記載されている内容は、まさに「生涯就業力」

ところが、翌日、早速、メールが届きました。大学を卒業してから今に至るまでを、簡潔ながら筋道よく書いて下さっているメールでした。

彼女が勤務している会社は、全国の主要都市に支社をもち、その業界ではよく知られた会社です。内部統制統括部所属となる前は、人事・労務部門にいて、社会保険労務士資格を取得し、採用・研修・健康管理・労務相談・制度の設計など、人事・労務に関することを幅広く担当していたようです。英米文化学科を卒業した彼女が四半世紀近い年月の中で、新たな資格の取得に挑戦するなどして、与えられた業務に懸命に励み、業績を積んできたことがうかがえます。

近未来の労働市場の激変も予測されている昨今です。働く人は一生の間でいくつもの異なる分野で異なる能力を発揮することが求められるという歴史上初めての現象に直面することでしょう。このブログでも度々申し上げていることですが、そうした社会の変化に対応するために、常に新しい知識と技能の習得に臆することなく挑戦し、周囲の人々の支援も上手に得ながら、しなやかにしたたか(強か・健か)に生きる力が必要です。そうした力を今、恵泉女学園大学は「生涯就業力」と呼んで、4年間でその力の基礎を身につけさせることを目指しています。
いただいたメールからは、彼女がまさにこのモットーを体現しながら人生を進んできたことが伺えました。

なお、メールの中に次のようなことも書かれていました。
「当時、私は何かをやらかしまして、一度、大日向先生に厳しく叱られたことがありました(苦笑)。ですが、後々社会人になって、叱っていただいた内容が身にしみて理解でき、今でも感謝しております」

四半世紀以上経っても叱られたことを覚えているとは、随分ときつい叱り方をしてしまったのでしょう。私は全く覚えていないのですが、当時は私も若かったのだと思います。申し訳のない気持ちです。

2期生といえば、私が恵泉女学園大学に奉職した年に入学した学生さんです。
私たちは教師と学生という関係以上に恵泉の同期生でもあると思うと、感慨もまたひとしおです。

こうして卒業生が生き生きと活躍している姿を間近に見ることは、教員にとって何事にも代え難い喜びですが、現在、親の介護もしているとのことです。
「会社ではダイバーシティーなど色々な策が練られていますが、女性が社会で活躍するのは、まだまだ大変だな、とつくづく思います」と書かれていました。溌剌としたキャリアウーマンの顔の裏に隠されている現実の厳しさもまた想像されます。
どうか頑張って! 心から応援したいと思います。

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