「生活園芸」での草取りを通して、学生は何を学ぶのか

2016年08月29日

恵泉女学園大学の敷地内には約7000平方メーターの教育農場があります。
教育機関として日本で最初に有機農法(農薬や化学肥料を一切使わずに栽培)で「有機JAS認証」を取得した農場です。

大学に入学した学生たちは、一年次に必修科目「生活園芸Ⅰ」を履修し、この農場で野菜や花作りに励むことになります。
「聖書」の学びを基本としつつ、自然の恵みと命の大切さを体験し、世界の平和に貢献出来る女性の育成を願っている恵泉女学園にとって、「生活園芸」は基幹科目の一つです。

秋学期の初回は草取りから

この科目を担当している宮内泰之先生(環境デザイン学)が、先日の礼拝の感話で次のような話をして下さいました。

秋学期の「生活園芸Ⅰ」の主な作物は冬野菜のダイコンやハクサイですが、そのタネまきや苗の植付けの前にやらなくてはならい大切な作業があるとのことです。
それは、「草取り」!

夏の間に生い茂った雑草取りが秋学期の「生活園芸Ⅰ」の初回の作業になるということですが、例年、草取りをする学生の様子はまちまちのようです。
 コオロギやバッタが飛び出す度に悲鳴をあげる学生
 草を根こそぎひき抜けずに、根元を刈り取る学生
 サボっている学生 等々

草取りに対する学生の反応を見て、"虫を恐れることはないと伝えたり"、"鎌を上手に使って、効率良く草を根元から引き抜く方法を教えたり"、あるいは"手を抜かずに草を抜くように諭す"のが一般的に思い浮かぶ対応かと思います。

教育的指導よりも、もっと大切なことがあるという宮内先生

でも、これで本当にいいのだろうかと宮内先生は自問自答すると言うのです。
虫を恐れることはないと言っても怖いものは怖いでしょうし、サボっているように見えても、何か大切なことを考えているかも知れないからです。

勿論、授業を順調に進捗させるために教育的指導は必要ですが、そのためにもっと大切なことを見落としてはならないと悩むことがあると、宮内先生の言葉が続きました。
つまり、"学生同士、うまく引き抜けない仲間やサボって見える仲間をとがめるのではなく、自分と違う行動をとる人がいるということを知り、虫が怖くて手が出せない仲間や、一見サボっているような仲間の分もカバーしてくれる学生、そして、そのことに不満を持たない学生が多くいてほしい。一方、カバーしてもらう学生は、それに甘えるだけでなく、ましてや一所懸命に作業している仲間を見て、生真面目ぶって...などと思うのではなく、感謝し、自身の行動を省みてほしい"と。

宮内先生のこの思いは、多様性を認め合う大切さを訴えるものでした。
多様性を認め合う経験を積み重ねることが、この世界に暮らす人々、一人ひとりのかけがえのなさを思うことであり、その心が平和につながっていくことを願いながら、草取りを毎年見守っているという感話でした。

草取りは地味で、しんどい作業です。特に若い女子学生たちにとってはつらいと感じる作業でしょう。でも、ここにはまさに恵泉の平和教育の心があるのです。

今、教育農場では真夏の太陽を一杯に浴びて草がぐんぐんとのびていることと思います。
秋学期には、この草取りを通して学生たちが学ぶことの多いことを願います。

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