2013年8月18日

伝説から歴史へ ―甲骨文字の発見と殷墟―(中華人民共和国)

2013年08月18日

殷墟(いんきょ)は、現在の中華人民共和国、河南省安陽(あんよう)市にある、紀元前17~11世紀ころに存在した殷(いん。商とも)王朝後期(紀元前14~11世紀ころ)の遺跡である。この殷王朝は、ながらく伝説上の存在と見なされていた。ところが、この殷墟の発掘と、文字史料の発見・解読により、実在が証明された。その経緯はこうである。

時は清(しん)王朝末期の1899年、王懿栄(おういえい)は、マラリアの薬として竜骨という漢方薬を購入した。すると、王の幕客であった劉鶚(りゅうがく)が、竜骨に模様のようなものが刻まれていることに気づく。王と劉は、これを文字だと推測し、竜骨を広く買い集めて研究に没頭、これが殷王朝時代の文字だと判明するのである。そしてこの文字は、亀の甲羅や牛などの骨に刻まれていたことから、甲骨文字(こうこつもじ)と呼ばれるようになった。漢字のご先祖様である。

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「婦好」像