ネットオークションの活用

2011年04月07日 

現代宗教の研究、特に資料の収集に意外と役立つのがネットオークションである。収集したい資料のキーワード(団体名や人名など)を登録しておくと、関連の物品が出品された時、メールで知らせてくれる。

これまで入手した貴重な資料の中に、例えばオウム真理教の元代表、松本智津夫死刑囚の説法テープがある。後に地下鉄サリン事件の実行犯となる幹部との問答なども収録されており、善良な青年がどのようなプロセスを経て無差別大量殺人に加担するようになったかの生々しい記録である。その他にもオウム関連のものは、雑誌や物品など多数出品されているが、現役信者が資金稼ぎに利用している可能性もあるので注意を要する。

最近落札した掘り出し物は、昭和10年12月8日付の朝日新聞の号外(写真1)と読売新聞の号外(写真2)である。いずれも大本教への一斉検挙(いわゆる第二次大本事件)を報じるものだ。近代日本における最大の宗教弾圧として知られる大本事件については、すでにたくさんの研究書や出ているが、こうした当時の生の資料は貴重である。 いずれも罪状は「不敬罪」だが、読売は「邪教の本体暴露」といったセンセーショナルな大見出しを掲げるのに対し、朝日は「暴力的な行動を計画した形跡は今の所明瞭ではない」と冷静な指摘をしている。

平和学研究科教授・川島堅二

朝日新聞の号外(写真1)

読売新聞の号外(写真2)