講義:タイの農村社会

2018年08月10日  投稿者:国際社会学科3年 井原美波

8月7日は、タイNGOワーカーであるチャチャワン先生から先生の娘さんが経営しているレストランで、旬の食材を使ったヘルシーで美味しい料理を頂きながら、タイの農村社会についてお話していただきました。食後は、チャチャワン先生にこのレストランがある村を案内していただきながら、村の歴史や現状、村人の信仰や生活について話を聞きました。

この村に村人が住むようになって200年ほど経つそうですが、村内には主婦グループ、若者グループ、貯蓄グループ、ヘルスボランティアグループなどがあり、お互いみんなで協力、交流し合い生活しています。村外の人との関係として、近年ではアートやハンディクラフトに関わる人が村の土地を買い、ショップを兼ねた家を作り商売をしながら、村内で生活をしています。この村はチェンマイ市内に近い立地条件にあるため、チェンマイ市内で働くミィヤンマからの外国人労働者が村人から安く空き地を借り、一時的な仮住居で生活していました。このように村外の人との関係の中で村は常に変化していることがわかりました。

チャチャワン先生の娘さんが経営するお店(Meena)のおにぎり型ご飯

信仰については、村人は仏教と精霊信仰を信仰しています。お寺があり、年間を通して仏教行事もありますが、同時に田んぼや土地などにも精霊がいるとして、精霊を崇拝しているのです。村の中で2つの信仰が共生しているのは、1つの宗教を信仰している私にとってとても新鮮でした。

また、先生はタイの村・コミュニティのあり方についても話してくださいました。村の形態は様々ですが、村ごとの特徴一つ一つがコミュニティ形成の要素となっています。村には民族や歴史、土地柄によって異なるものや、地域ごとの価値観、信仰があるけれど、自然や祖先を敬う部分は共通していると教えてくださいました。村人は携帯電話も使うし、村にはテレビもあります。村人ではない外部者が村内で一緒に生活しています。しかし、信仰や村の行事、村人それぞれの役割や助け合いなど、大切な村の軸となっている部分は以前と変わりません。村の外とも交わりを深め、村人同士が話し合い、協力していく姿は、近所の人とのつながりが減りつつある日本ではあまり見られないなと感じ、日本のことを振り返り考える時間にもなりました。