家畜と人間の関係

2018年01月09日  投稿者:国際社会学科 3年 村井美月

私はカレン民族の村であるフワイイカン村で、「家畜と人間の関係」をテーマに体験学習を行ってきました。フワイイカン村では村人のほとんどが牛、豚、鶏を飼育しています。村人によっては水牛やアヒル、馬や象を飼育している人もいるのですが、私は牛、豚、鶏を中心に調査を行いました。

村人は土着の精霊信仰(自然の中のあらゆるものに精霊が宿っているという考え)を信仰しているため、家畜を現金収入や貯金、食として育てるだけではなく、儀式の際に精霊に捧げる捧げものにするために育てています。お金、食、宗教という点から必要になってくる家畜を健康に育てるために、日々様々な工夫をしています。しかし、どんなに注意しても、家畜が死んでしまうことがあります。そんなとき彼らは「仕方ないね」としてしまうのではなく、そのようなことが起きないように家畜にも儀式を行います。

家畜の中でも特に豚、鶏は、女性との関りが強くあります。精霊信仰の儀式の中には祖先を崇拝する、祖先霊崇拝の儀式があります。この儀式は女性側の祖先霊を崇拝するのですが、その際に捧げものになる豚、鶏は、女性が結婚した時に初めて飼うことができます。またこの豚、鶏を飼育するのは女性の役割でもあります。

牛の放牧をしに行きます

ほかにも家畜が異常な行動をとると、人間の身に起こる危険を予知しているとみなし、殺して儀式を行うなど、村人たちは家畜を自分たちの身を守るものとして飼育しています。彼らは家畜をお金や食としてではなく、一つの命として見つめていることに気づきました。そして村人と家畜との間に精霊の存在があるからこそ村人は家畜を大切に飼育しているのではないかと考えます。

日本での生活では、自分が牛や豚、鶏のどの部分を食べているのか見て理解する機会がなかったように思います。ですが、自分たちが食べるところを切り分け調理することで、どこの部分を食べているのかわかり、「毎日餌をあげている、あの豚を私は食べている」という実感がありました。1つの命を食べさせていただいていることに感謝し、心から「いただきます」を言えたように思います。この気持ちは日本に帰ってからも忘れずにいたいと感じました。