石山 可奈子 さん 人間環境学科

■卒業年:2008年3月卒業
■勤務先:三吉整骨院

私の仕事は鍼灸師です。現在は横浜市内にある整骨院で働いています。なぜ、今の仕事を選んだのか、在学中に考えていたことをふりかえってご紹介します。
私は、人間社会学部人間環境学科に所属し、環境社会学を中心に学びました。授業やゼミなどで、持続可能な社会とはなにか?自然と人間が共存する世界とはどういうものか?と問いかけられるうちに、私はこの社会で何ができるのだろうかと深く考えるようになりました。大学3年にもなると就職活動が始まり、会社の面接を受けるたびに、ますます自分ができることの意味について思い悩むようになりました。しかし、当時の私は社会の役に立てる気がせず、就職活動に集中できずにいました。その時に、あらためて自分を見つめ直してみると、「東洋医学」というキーワードが頭に浮かんできたのです。

「東洋医学」は、1年生のときに学んだ太極拳の授業で知ったものです。その時は、あまり興味を持っていなかったのですが、気の流れを用いて身体の動きをコントロールしたり、気の流れを良くするためにマッサージしたりするうちに、人間が本来持っている力を最大限に活かすという考え方が、何となく心に残ったのです。その後、環境社会学で考えた持続可能な社会という方向性に、東洋医学の人間が本来持つ力を活かすことが私の中で重なりました。そして、思いを実現するために、どこにいても自分の腕だけで社会の役に立てる力を身につけたいと考え、東洋医学の世界に飛び込むことにしたのです。
こう決心した私は、あん摩や鍼灸を学ぶための専門学校を受験し、合格することができました。大学卒業後、さらに3年の歳月を経て国家試験を受け、鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師という3つの資格を得ることができました。
現在の職場では、怪我や病気の患者さんのほか、悩みを抱える人や妊婦のケア、女性特有の症状を抱える人など、さまざまな患者さんを診ています。最近は、うつ病の患者さんも多いのですが、そのような患者さんに鍼などの治療を施して元気に帰っていく姿を見ると、東洋医学の必要性があらためて感じられます。
もちろん、うまくいくことばかりではなく、悩むことも多いですが、それでも自分の信じるものがあるから続けることができます。働いていて辛いことがあっても、翌朝起きると、また仕事をしたいと思えるのは本当に素晴らしいことだと思っています。
この仕事を見つけることができたのは、大学で太極拳と出会い、環境社会学を学び、さまざまな経験をしたからだと思っています。卒業後に専門学校に通いましたが、私は恵泉の4年間が大切な時間だったと心の底から思っています。恵泉では、のんびりとした雰囲気の中で、友人と遊んだり、ゼミで学んだり、サークルにのめり込んだりしながら、ものを考える4年間でした。その中で、働くこととはどういうことなのか?じっくり考えることができました。こうした期間があったからこそ、今、納得のいく仕事に就き、社会のために頑張って働くことができるのだと思います。